アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2025年9月2日、新たなAI導入調査レポートを公表した。調査はストランド・パートナーズと共同で実施され、日本のビジネスリーダー1,000名、一般市民1,000名を対象としている。
AI導入率でスタートアップが大企業を上回る
日本企業全体では、現在約150万社(企業の43%)がAIを導入しており、これは前年の33%から上昇している。2024年だけでも36万社が新たにAIソリューションを導入し、約2分に1社のペースに相当する勢いで、前年比30%の成長率を示している。
特にスタートアップにおいては84%がAIを導入しており、大企業(68%)や全国平均(43%)を大きく上回っている。さらにスタートアップの36%が、完全に新しいAI機能を盛り込んだAI駆動型製品を開発するなど、革新的な取り組みが顕著となっている。
大半の企業はAI活用が表面的にとどまる
AI導入が急増している一方、多くの日本企業の活用範囲は限定的である。72%の企業が効率化やプロセス合理化といった基本的な用途にAIを利用しており、新規事業開発まで進んでいるのは少数にとどまる。AI導入の中間段階に進んだ企業は7%、意思決定やビジネスモデルの中核に活用しているのは13%と低調だ。いわゆる“二層経済”が進行する中、特にテクノロジー主導のスタートアップがイノベーションをリードしている。
導入障壁はスキルギャップと規制環境
AI活用を進める上で、熟練人材の不足が最大の障壁(39%)とされている。また、AIリテラシーの必要性を実感する企業は37%だが、対応できていると認識しているのは25%にとどまる。資金調達の重要性も指摘され、50%のスタートアップがベンチャーキャピタルのアクセスを重視。さらに、AI法に関する明確な説明ができると答えた企業は14%のみで、規制対応コストの増加も企業にとって懸念材料となっている(平均22%の予算)。
今後の展望と提言
レポートは、日本がAIイノベーションで好機を生かすための3つの行動として、デジタルスキル開発、規制環境の明確化、公共セクターでのデジタル変革加速を挙げている。企業の52%は、政府主導の取り組みが進めばAIを採用しやすくなると回答している。
調査概要
- 調査主体:AWS、ストランド・パートナーズ
- 調査対象:日本のビジネスリーダー1,000名、一般市民1,000名
- 調査時期:2025年
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