推し活文脈の視聴も増加!DAZNのユーザー層とは
――はじめに、DAZNについて改めて教えてください。どのようなサービスを提供していますか?
笹本:DAZNは英国に本拠地を置く、デジタルスポーツチャンネルです。200以上の国と地域で利用可能で、日本での提供は2025年で9年目になります。日本ではサッカーJリーグの独占配信から始まり、様々なスポーツコンテンツを展開。現在、年間9,000試合以上を配信しています。2025年10月からはバスケットボールのBリーグも加わるため、Jリーグ、プロ野球、Bリーグという日本の三大プロスポーツの試合を配信するプラットフォームです。

――日本におけるユーザー層の特徴や視聴傾向を教えてください。
黒川:M1(20~34歳男性)、M2(35~49歳男性)の層が60%を占めます。また、現在注力している無料視聴サービス「DAZN Freemium(フリーミアム)」の登録者を含めると、M1とF1層の割合が高くなります。加えて、テレビ端末で視聴される割合が50%ほどを占めるため、家族で視聴しているケースも多いと考えられます。
視聴傾向としてはMAU率が80%と高く、1週間あたりの平均視聴時間が約4時間と、映画2本分に匹敵する時間を過ごしています。また、45%の方が複数のスポーツを視聴している点も特徴です。
――9年間でユーザー層に変化は見られますか?
黒川:各プロスポーツチームも新規ファンを増やす施策を打ち出しており、女性ファッション誌とコラボしたり、趣向を凝らしたグッズを展開したりしています。それにともなって、DAZNのユーザー層も変化している印象です。特に、若い女性ユーザーが急激に増えており、F1層は前年比で3.4倍に拡大しています。

――DAZN Freemiumに注力しているとのことですが、狙いは何でしょうか?
笹本:近年、有料サービスを視聴するコアなファンだけでなく、ライトなスポーツファンも増えています。その方々とのタッチポイントを増やすことが目的です。短尺の動画でスポーツを見たいというニーズや、推している選手を見たい・情報を知りたいニーズもあり、登録者数は前年と比べて約7倍に増えています。
見る・応援・参加、3つの体験を提供
――DAZNが目指す顧客体験はどのようなものでしょうか?
笹本:コアなスポーツファンからライトに楽しむ人たちまで、すべての人にDAZNを活用してもらうために、「3つの体験」の向上に力を入れています。
まずは「見る体験」です。自宅などでライブ配信を見るだけでなく、スタジアムで実際に観戦しながらDAZNを視聴する人も増えました。見逃してしまったプレーなどをDAZNでもう一度見ているのです。昔は球場でラジオ中継を聞きながら観戦している人がいましたが、今はそれがDAZNになっています。見る体験の多様化に合わせてコンテンツを工夫し、没入感のある視聴体験をさらに充実させていければと考えています。
2つ目が「応援する体験」です。グループ観戦できるサービス「FanZone(ファンゾーン)」では、応援コメントを書き込んだり、ファン同士で交流したりできる機能を提供し、応援体験の充実を図っています。

3つ目は「参加する体験」。ファンの人たちに「自分がこの選手やチームを育てている」という参加意識を持ってもらえるような体験を提供していこうと考えています。
これまでの9年間は「見る体験」を最適化することに注力してきました。今後は応援と参加を加えることで、スポーツと積極的に関わるアクションを促していけたらと思います。
――ファンにとっては、さらに楽しい体験が期待できますね。
笹本:そうですね。2025年6~7月の「FIFAクラブワールドカップ」では、FIFAの大会で初めて審判にカメラを付けたほか、開催地の米国ではVRヘッドセット「Meta Quest」でライブ配信の試合をイマーシブに見られる体験を提供しました。今後、体験はさらに進化していくと思います。