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MarkeZine Day 2025 Retail

世界動向の先を読む「もう1つの視点」

出店戦略だけでない、ユニクロの海外成長を支える「見えざる構造」

 米国最新情報レポート「MAD MAN REPORT」を毎月発刊している榮枝洋文氏の視点を借り、国内外の企業の動きやグローバルの潮流を解説している本連載。今回は、ユニクロの事業を深読み。なぜユニクロ海外事業は大きな成長を遂げられているのか、背景にある表からは見えない構造を紐解いていく。

国内店舗数は減少させている、ユニクロの出店戦略

 ユニクロ(ファーストリテイリング)は、華々しい旗艦店オープンが目につく一方で、着実に国内の店舗数を減らしている(図1:青グラフ)。新規出店もあるが、それよりも退店数が上回る状態で、国内店舗数や床面積は戦略的に絞りこまれている。

 それとは反対に、海外店舗数(図1:赤グラフ)は急増中。10年前から既に店舗数は海外が国内を上回っており、国内店舗は2013年をピークに計画的に絞り、同時期から海外店舗数への投資が激増している。

【図1】ユニクロ国内店舗数と海外店舗数の推移、GUなど他ブランドを除く(出典:ファーストリテイリングIR情報・店舗数を参考に筆者が作成※2025年7月17日時点
【図1】ユニクロ国内店舗数と海外店舗数の推移、GUなど他ブランドを除く(出典:ファーストリテイリングIR情報・店舗数を参考に筆者が作成)※2025年7月17日時点

 ユニクロ事業の海外店舗数は「日本」「グレーターチャイナ(中国本土・台湾・香港)」「韓国・東南アジア・インド・オーストラリア」「北米(米国・カナダ)」「欧州11ヵ国」の5地域セグメントに区分して管理されている。図2はその数の内訳を示したものであり、日本・中国・東南アジアを含む「アジア圏」が全体の9割を占め、「欧米」は1割に満たない(図2)。

【図2】ユニクロ海外店舗数の地域別内訳(出典:ファーストリテイリングIR情報・店舗数を参考に筆者が作成※2025年7月17日時点
【図2】ユニクロ海外店舗数の地域別内訳(出典:ファーストリテイリングIR情報・店舗数を参考に筆者が作成)※2025年7月17日時点

 店舗数と同様に、ユニクロ事業の売上収益に関しても、海外比率が既に国内を上回っている(図3)。さらに営業利益ではファーストリテイリング・グループ全体の約5,000億円のうち、海外部門の貢献が50%を超えるまでに拡大した(図4)。

【図3】出典:ファーストリテイリング「2024年8月期統合報告書」
【図3】出典:ファーストリテイリング「2024年8月期統合報告書」
【図4】ファーストリテイリング全体の事業セグメント別、営業利益(単位:億円)/(出典:ファーストリテイリング有価証券報告書2014・2024を参考に筆者が作成)
【図4】ファーストリテイリング全体の事業セグメント別、営業利益(単位:億円)/(出典:ファーストリテイリング有価証券報告書2014・2024を参考に筆者が作成)

 ファーストリテイリングの10年前からの「国内縮小・海外拡大」の構造シフトを、「自社ビジネスではどうか?」の応用例としよう。これらの目に見える店舗数や売上値の要素だけでなく、その背後にある構造をさらに読み解いていく。

次のページ
単なる事業継承ではない、ファーストリテイリング流のグローバルカバナンス体制

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49928

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