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MarkeZine Day 2026 Spring

【新年特集】2025→2026 キーパーソンによる予測と展望

【2026年のリテール戦略】エージェンティック・エコノミーに対応できない小売は死滅する

 「検索」が終わり、AIが購買を代行する時代へ――。 数々の大手企業でデジタル変革を支援してきた300Bridge・藤原義昭氏が、2026年に訪れるリテール市場の構造転換を鋭く読み解く。自律型AIが経済の主役となる「エージェンティック・エコノミー」において、企業の明暗を分ける境界線はどこにあるのか。「ブランド構築は無意味になるのか?」という問いへの答えなど、激変する市場で経営者・マーケターが生存するために不可欠な視点を提示する。

私たちは「構造転換」の入り口に立っている

 激動の2025年を通過し、私たちは今、単なるトレンドの延長線ではない「構造転換」の入り口に立っています。2026年、市場のメガトレンドは、「自動化」から「自律化」へのシフトだと考えています。生成AIはもはや単なる効率化ツールではなく、意思決定と実行を担う「自律型AI(Agentic AI)」へと進化を遂げました。

 このパラダイムシフトを乗り越えて、次なる成長フェーズへ向かうために、経営者・マーケターは何をしないといけないのか、考えてみましょう。

2025年を振り返る:世界経済のマクロ動向と市場環境

 2025年、世界経済は政治・社会・環境といった複数の軸で大きな変動を迎えました。日本では高市早苗氏の首相就任に象徴される政界の構造変化が起き、インフレ抑制策が進む一方で、インバウンド需要の変質や「物流問題」「令和のコメ騒動」といった供給網のリスクが次々と顕在化しました。一方アメリカでは、トランプ政権への交代を機に保護主義的政策が再強化され、高関税と地政学リスクが小売業界の収益構造を直撃しています。

 また、日米ともに「二極化」と「アフォーダブル(手頃な)贅沢」という新たな消費行動を見せ、企業は低価格戦略と高付加価値戦略の両極への適応を迫られたと感じます。

 このようなマクロ環境のもと、リテールおよびEC市場もかつてない構造的転換点にありました。

 物流の「2024年問題」に起因する輸送力の低下とコストの上昇に加え、多くの企業ではレガシーシステムの複雑化という「技術的負債」が新たなテクノロジー導入を阻んでいます。特に、老朽化し刷新が進まないECプラットフォームは深刻な状況です。「2025年の崖」が象徴するように、ITインフラの遅れが事業拡大のボトルネックとなり、競争力を失いつつあります。

2026年の大局を一言で表すと:「自律的オーケストレーション」

 2026年から始まる新時代の潮流を、妄想を含めて一言で表すなら「自律的オーケストレーション」です。

 これまで私たちが推進してきたDXの多くは、実のところ「自動化」の範疇に留まっていました。これは、「在庫が閾値を下回ったら発注する」といったように、人間があらかじめ設計したルールやプロセスを、デジタル技術を用いて高速化・効率化することに主眼が置かれてきたのです。

 しかし、2026年からは「自律化」が本格的に始まるでしょう。ここでの主役となる「自律型AI」は、単なるルールベースでの実行ではなく、天候の変化、競合他社の価格動向、SNSでのトレンド、物流の混雑状況といった複雑な外部環境を自ら認識。その上で、「利益最大化」や「顧客体験の最適化」という上位目標を達成するために、最適な手段を動的に選択・実行することを指します。

 この自律型AIは、取引のあり方を「エージェンティック・エコノミー」へと劇的に変貌させます。従来の「人対人」や「人対機械(ECサイト)」の取引に加え、消費者の代理であるAIと、企業のAIが直接交渉する「機械対機械(Agent-to-Agent)」の元年となるのではないかと予想します。

 消費者が「予算5万円で最適なキャンプ道具一式を」と頼めば、AIが瞬時に選定から決済までを完結させる。このように「買い手」がAIに置き換わる以上、「売り手」である企業側も、AIエージェントの要求に応えられる体制へと進化しなければなりません。

 バリューチェーン全体をAIによって自律的に調和させる(オーケストレーション)と同時に、顧客のAIエージェントから「選ばれる」ための新たなアルゴリズム対策を講じること。これが、これからの企業経営における不可欠な要件となりそうです。

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2026/01/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49572

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