Z世代の美的感覚に寄り添う“ユニセックス”な価値観
本記事では、MarkeZine編集部が主催するマーケティングアワード「BEST OF MARKETING AWARD 2026」において、ブランディング部門にノミネートされたシック・ジャパン/ABEMA/kiCkの事例を紹介する。
同取り組みのテーマは「“やさしく剃れるシェービングブランド”の確立と便益浸透」。2025年9月から開始されたこのプロジェクトは、若年層向けブランド「Schick FIRST TOKYO(シックファースト トーキョー)」が、単なる認知を超えて「自分たちのための商品」としての深い理解を浸透させるための挑戦である。
背景には、シェービング市場における長年の構造的課題があった。従来の主要ブランドは「深剃り」や「力強さ」を強調する無機質で武骨なデザインが主流で、若年層にとっては「自分より上の世代が使うもの」というイメージが強かった。加えて、韓流トレンドやマイルドな価値観を重視する今の若者にとって、従来のシェーバーは心理的な距離を感じさせる存在となっていたのだ。
プロジェクトチームが行った事前のインタビューで、非常に興味深いインサイトが明らかになった。若年男性は自分のヒゲを「まだ産毛程度」と認識して放置しがちである一方、周囲の友人やパートナーからは「それはヒゲである」と認識され、清潔感に欠ける印象として受け取られていた。また、シェーバーを購入に至る動機として「友人の家で見かけて、デザインがおしゃれだったから購入した」という声も多く、機能よりも「日常のインテリアや生活に馴染むか」という美的感覚がより重要視されていることがわかった。
そこで、シェービングを「面倒な作業」から、自分をかっこよく整える「前向きなビューティグルーミング習慣」へと再定義。Z世代から圧倒的な支持を得るABEMAの恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』(以下、『今日好き』)を舞台に、この新しい価値観を届ける戦略を立てた。
