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特集:スポーツが拓くマーケティングの可能性

コア層の出費は伸び、コミュニティが細分化?21年にわたる調査データから紐解くスポーツ市場とファン動向

 スポーツがマーケティングにもたらすベネフィットや企業の関わり方のヒントを探る本特集。今回は「スポーツマーケティング基礎調査」のデータをもとに、市場の最新動向やファンの実態、メディア接触の変化などを三菱UFJリサーチ&コンサルティングにインタビュー。21年間にもおよぶ同調査のデータから、スポーツ市場の今を紐解きます。

21年目となる「スポーツマーケティング基礎調査」

MZ:最初に自己紹介と、今回のテーマとなるスポーツマーケティングにおける調査について教えてください。

白藤:私たちが所属する政策研究事業本部は、4つの本部があるうちのシンクタンク部門として、基本的に自治体も含めた官公庁から受託する調査を担っています。

 今回お話しする「スポーツマーケティング基礎調査」はスポーツへの興味関心や参加・消費の意向を調査し、国内スポーツ市場の実態を明るみにする目的で、調査会社マクロミルと共同で実施しているものです。データに基づいたスポーツ経営やスポーツ振興に役立つ資料整備の取り組みとして2004年から開始し、昨年10月に発表した2024年版で21回目を迎えました。なお、2025年版の調査結果は10月中旬に発表予定です。

 開始したきっかけは「シンクタンクは、独自の統計データを持つべき」との思いからです。巷の声をデータで裏付けることを目的に、まだ統計やデータがない分野を調査することで社会貢献できると考え実施しています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部 産業創発部 クリエイション・テクノロジーグループ 上席主任研究員 白藤薫氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
政策研究事業本部 産業創発部 上席主任研究員 白藤薫氏

白藤:全般的な動向を見るための調査ですので、広い視野で定点的にウォッチすることが重要です。そのため、7~8割は継続的に同じ設問にしています。残りの2~3割は、直近のスポーツ分野で注目されたトピックに関する質問を入れています。2024年ならダイナミックプライシング、以前ならクラウドファンディングやスポーツツーリズムなどが挙げられますね。

スポーツ市場の今を紐解く、2024年版調査の注目ポイントは?

MZ:最新調査での注目点や、データから見えてきたトピックをご説明ください。

五味:2024年のスポーツ市場はコロナ禍からの復活傾向が続き、たとえばスタジアム観戦市場は昨年比57.0%増と大幅に伸長しています。1回あたりの観戦経費は長く横ばいでしたが、2019年に1万円を超え、2024年は1万3,000円弱にまで上がりました。スポーツ参加市場規模の合計は約1.7兆円で、こちらも昨年比で24.0%拡大しています。ただ、その背景には物価高やチケット代の上昇もあると見られます。

 一方で観戦率は、長期的な傾向としては調査開始時からずっと下り調子です。コロナ禍の激減後よりは回復しており、2024年は長期のトレンド線より上ぶれしています。これがどこまで続くかですね。

出典:2024年スポーツマーケティング基礎調査(クリックして拡大)
出典:2024年スポーツマーケティング基礎調査(クリックして拡大)

MZ:市場が拡大している点は、スポーツマーケティングに関わる方はポジティブに捉えてもよいのでしょうか?

五味:そうですね。観戦者自体は減っていますが、より深く狭いコア層の方が残り、多額の消費をしている状況だと思います。遠方に試合観戦のために出かけたり、レプリカユニフォームなど高額なグッズを購入したりする人なども、昔と比べて増えている印象です。

出典:2024年スポーツマーケティング基礎調査(クリックして拡大)

白藤:「コト消費」がスポーツ市場でも起こり、「推し活」のような形で消費行動を取る人が増えてきているといえますね。実際にスタジアムに行って現地での観戦行動を楽しむ人は横ばいから増加傾向で、消費額も上がっています。スタジアムの臨場感やライブ感に、価値を見出しているのではないでしょうか。

MZ:さきほど物価高とおっしゃいましたが、逆にライトファンは消費が抑え気味になってしまうのですか。

白藤:そうですね。実際の所、スポーツを実施したり観戦したりする人の数は年収に比例します。スタジアム観戦に行くコア層と、テレビなどで見ているライト層は、分けて考えないといけません。

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大きなコンテンツから、小さいコミュニティへと分散

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/09/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49749

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