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特集:スポーツが拓くマーケティングの可能性

コア層の出費は伸び、コミュニティが細分化?21年にわたる調査データから紐解くスポーツ市場とファン動向

30代以下はスマホ、40代以上はテレビで観戦する傾向に

MZ:テレビ地上波でのスポーツ放送は減ったとのお話もありましたが、生活者がスポーツに触れるメディアの傾向はいかがでしょうか。

白藤:スポーツに限らずですが、テレビやラジオ、新聞など従来のマスメディアからネット系メディアへの移行が見られます。全世代ではスポーツ観戦する際に最も多く利用している端末はテレビで、次点がスマホです。しかし30代以下を見ると、テレビよりもスマホでの閲覧が多いですね。

出典:2024年スポーツマーケティング基礎調査(クリックして拡大)
出典:2024年スポーツマーケティング基礎調査(クリックして拡大)

白藤:またスポーツ関連の情報入手元もテレビが過半数で最多ですが、動画配信、SNSなどのネットメディアも増加しています。40代~50代はWebサイトや雑誌の記事も含めたマスメディア、10代~20代はネット系のメディア、特にSNSや動画から情報を得ています。

 SNSは年代で分かれますが、動画は中高年の落ち込みが少ない点も特徴ですね。YouTubeなどの動画は、世代を問わずよく見られている様子です。しかし中高年がSNSで探したり発信したりすることには壁があるようです。

MZ:若年層はスポーツコンテンツ消費でもSNSを活用して盛り上がり、コミュニティに発信してみんなで楽しむ傾向があるのですね。

白藤:そうですね。そういった意味で、SNS発信はよい循環を作っていると思います。

五味:ファンがそれぞれコミュニティ形成をする一方、生活者が皆一斉に見るメディアがなくなり、日常でスポーツに触れるきっかけ自体は少なくなっているかもしれません。試合放映が有料配信のみだと、やはりライト層にとっては敷居が高くなります。配信価格の上昇や、競技・リーグごとに配信サービスが異なる状況もユーザーにとってデメリットですね。

無関心層を巻き込むべく、様々なアプローチを業界全体で

MZ:スポーツマーケティングにおいて、今後、重要性が増すのはどのような点だとお考えですか。

白藤:まず、スポーツに興味がない無関心層の増加にどう対応していくかですね。母集団が小さくなる中で、いかにコアなファン層に誘導していくかが重要です。チームやメディアは収益最大化のためにダイナミックプライシングの導入や、有料配信によるファン囲い込みをしたいと考えますが、それだけではライト層がスポーツから遠ざかってしまうのが難点です。

 コア層とライト層の両方を踏まえて、全体的な戦略を実現していくのはいち球団やクラブだけでは難しいでしょう。チームやメディア、協会、地域などで役割を分担しつつ、業界全体で取り組んでいく必要があると考えます。

五味:私は競技以外の付加価値を高め、スポーツがより身近であると意識付けをしていくことが重要だと思います。素晴らしいスタジアムやアリーナを「わが街」に作ることもその一環として有効ではないでしょうか。サッカースタジアム・アリーナ・ホテル・商業施設・オフィスの複合施設として2024年に開業した「長崎スタジアムシティ」のように、普段でも入れる身近な拠点にすることで、裾野が広がるでしょう。

白藤:その地域に足を運んでもらう点では、スポーツツーリズムも交流人口を増やせる非常にいいコンテンツですね。たとえばサッカーのコアなファンは地域を理由に応援する人が多く、有名な選手がいなくても地元チームをサポートしようという気運があります。これはJリーグが各都道府県で地域密着のチームやクラブを作ってきたことも背景にありますね。

 また、昨今だとインバウンド市場も興味深い活路の一つとみています。チーム規模が大きくなくとも、色々なアプローチが模索可能といえるでしょう。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49749

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