「環境適応」を強く意識し、商品・販売戦略を展開
── ビオレUVは長年、市場で存在感を示しているブランドですが、特にここ数年のヒット商品は、生活者のライフスタイルや情緒に寄り添う姿勢を重視している印象を受けます。現在ブランドが目指している立ち位置と、その背景にある市場環境の変化についてお聞かせください。
まず足元の数字からお話しすると、2026年2月から全国発売した「呼吸感ベールUV」は、現在までに累計出荷本数220万本を突破し、当初計画比1.2倍の売れ行きです。一方、2026年3月からイオングループ等での先行販売を開始した「キッズスタンプUV」も累計30万本を達成し、こちらは当初計画比2倍のペースで推移しています。
ビオレは1980年の洗顔料誕生以来、社会の潮流やニーズに合わせて新しいスキンケア習慣を作りながら成長してきました。近年のブランドのあり方を語る上で欠かせないのが、「地球沸騰化」における環境の変化です。
具体的に、私たちが今着目している変化は3点あります。1つ目は、紫外線・暑熱に対する防御意識の高まりです。日焼け止めが一年中使用するアイテムになったり、男性でも日傘を差す方が増えたりしています。
2つ目が、汗・ムレ不快を感じる場面の増加です。移動中に汗が気になっても人前でケアできない、アームカバーの中がムレる、といった課題が顕在化しています。
3つ目は、法改正にともなう職場での熱中症対策の義務化です。企業・学校を含めた社会全体で暑さに向き合う意識が急速に高まっています。
こうした社会的な変化を踏まえ、私たちは商品戦略と販売戦略の両面で「環境適応」を推進しています。「呼吸感ベールUV」は、まさに地球沸騰化時代に対応した商品として設計されました。
生活者調査から今を捉えたインサイトを発掘
── 「呼吸感ベールUV」の開発の発端となったインサイトについて教えてください。
この商品の出発点は、生活者調査から見えた課題でした。日焼け止めを使って紫外線から肌をしっかり守るためには、均一な塗膜が続くことと、適量を肌にきちんと塗布することの2点が不可欠です。ところが、汗や湿気でベタつきを感じやすくなっている昨今、生活者が実際には十分な量を塗れていないという実態が見えてきたのです。
どれほど高機能だとしても、適量を塗らなければ肌を守り切れません。一方で、ベタつく日焼け止めを塗りたくないのは当然です。そこで考えたのが、「塗るときから塗った後まで、ずっと気持ちいい日焼け止め」です。自然とたっぷり塗りたくなる体験設計によって、生活者の肌をしっかり守ろうと考えました。
──そのコンセプトを、どのように商品に落とし込んだのでしょうか。
技術的な柱は、湿度応答型の「呼吸感ベール」です。湿度に応じて塗膜の厚みを変化させることで、なじみのよい塗り心地を実現しました。同時に、その心地よさを体験として形にすべく、容器の吐出口も新たに開発したのです。
実は社内では、吐出口の形状にコストをかけることに対して疑問視する声もありました。しかし私は、製品そのものが最大の生活者との接点であり、コミュニケーションツールだと考えています。吐出口の試作回数は100回以上、処方との組み合わせを含めると300種類以上の試行錯誤を重ねました。
その結果、使った瞬間に「こんな日焼け止め初めて」と驚き、周囲に伝えたくなるような使用体験を生み出せたと考えています。(次ぺージに続く)
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