育てた野菜がもらえる買い物アプリ「カウシェ」、急成長の背景
——カウシェはDL数700万、売上総利益411倍など急成長が注目されているアプリです。どのようなサービスか、改めてお聞かせください。
前本:カウシェは、野菜がもらえる買い物アプリです。アプリ内のバーチャルな畑「カウシェファーム」で野菜を育てると、本物の野菜が無料で自宅に届くミニゲームが組み込まれています。毎日の水やりが必要な設計です。また、ユーザー同士で水やりをし合うことで野菜の成長が早まる仕組みになっています。

家族や職場の同僚など、リアルな関係性のある人たちと一緒に楽しんでいただくケースが多いです。離れて暮らす家族と楽しまれている方からは、「今日もお母さん、水やりしているから、元気そうだ」と、安否確認の役割を自然に担っているというお声もよく聞きます。
ユーザーは女性が圧倒的に多く、特に50代の主婦層の方に多くご利用いただいています。社内では「宮崎さん」と呼んでいるペルソナがあり、「宮崎さん」にとって心地よい体験をどう作るかが、社内の共通言語になっています。
——カウシェ社が大切にしている方針はなんでしょうか?
前本:私たちが何より大切にしているのが、お客様との対話です。
オンラインインタビューだけでなく、対面でお会いする機会も積極的に設けています。地方へも積極的に伺います。そのエリアの潜在顧客が何を感じ、なぜカウシェを使っていないかを把握する必要があるためです。非ユーザーの方と話す機会は意識的に作らなければ得られません。直接対話することで、認知や使っていない理由への解像度が一気に上がります。得られた知見はマーケティングだけでなく、プロダクトチームとの議論にも活かしています。
投資バランスを見極める共通指標「CC」
——アプリサービスは新規顧客の流入と継続率向上(リテンション)をバランスよく実施する必要があるかと思います。2つの施策への投資バランスはどう判断されていますか?
前本:当初はこの判断がとても難しかったです。私たちはKPIとしてDAUを重視していますが、新規獲得に力を入れた先でDAUがどこまで伸びるのか、よく見えていませんでした。
そこで導入したのが、「CC(Carrying Capacity)」という指標で、サービスが構造的に維持できるDAUの上限値を表します。CCはもともと生態学の用語ですが、プロダクトグロースの文脈に置き換えると、次のシンプルな計算式になります。
「CC(DAUの上限)=(1日あたりの新規流入ユーザー数)÷(1日あたりの離脱率)」
今の状態でDAUがどこで頭打ちになるかが一目でわかるようになります。上限にまだ余裕があれば新規流入の強化が有効です。しかし上限が近い状態で新規向けの施策に広告費を積んでも、費用を戻した瞬間に数字は元に戻ります。これでは意味がありません。
CCをプロダクトとマーケティングの共通指標に置くことで、「今はリテンション改善を優先すべきフェーズか、新規流入を伸ばすべきフェーズか」を共通認識として判断できるようになっています。マーケとプロダクトが同じ物差しで投資配分を議論できるようになるという点でも大きな意味を持っていると思います。

