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売上総利益411倍!急成長アプリ「カウシェ」はなぜ、“迅速で納得感ある意思決定”ができるのか

 2023年の事業転換から、GMV35倍、DL数700万、DAU81倍、売上総利益411倍と急成長を続ける買い物アプリ「カウシェ」。社内のマーケターは2名など、限られたリソースの中でマーケティングとプロダクトを融合させながら、持続的な成長を実現している。本記事ではカウシェCMOの前本航太氏に取材。その戦略と実態をうかがった。

育てた野菜がもらえる買い物アプリ「カウシェ」、急成長の背景

——カウシェはDL数700万、売上総利益411倍など急成長が注目されているアプリです。どのようなサービスか、改めてお聞かせください。

前本:カウシェは、野菜がもらえる買い物アプリです。アプリ内のバーチャルな畑「カウシェファーム」で野菜を育てると、本物の野菜が無料で自宅に届くミニゲームが組み込まれています。毎日の水やりが必要な設計です。また、ユーザー同士で水やりをし合うことで野菜の成長が早まる仕組みになっています。

 家族や職場の同僚など、リアルな関係性のある人たちと一緒に楽しんでいただくケースが多いです。離れて暮らす家族と楽しまれている方からは、「今日もお母さん、水やりしているから、元気そうだ」と、安否確認の役割を自然に担っているというお声もよく聞きます。

 ユーザーは女性が圧倒的に多く、特に50代の主婦層の方に多くご利用いただいています。社内では「宮崎さん」と呼んでいるペルソナがあり、「宮崎さん」にとって心地よい体験をどう作るかが、社内の共通言語になっています。

——カウシェ社が大切にしている方針はなんでしょうか?

前本:私たちが何より大切にしているのが、お客様との対話です。

 オンラインインタビューだけでなく、対面でお会いする機会も積極的に設けています。地方へも積極的に伺います。そのエリアの潜在顧客が何を感じ、なぜカウシェを使っていないかを把握する必要があるためです。非ユーザーの方と話す機会は意識的に作らなければ得られません。直接対話することで、認知や使っていない理由への解像度が一気に上がります。得られた知見はマーケティングだけでなく、プロダクトチームとの議論にも活かしています。

株式会社カウシェ CMO 前本 航太氏
株式会社カウシェ CMO 前本 航太氏

投資バランスを見極める共通指標「CC」

——アプリサービスは新規顧客の流入と継続率向上(リテンション)をバランスよく実施する必要があるかと思います。2つの施策への投資バランスはどう判断されていますか?

前本:当初はこの判断がとても難しかったです。私たちはKPIとしてDAUを重視していますが、新規獲得に力を入れた先でDAUがどこまで伸びるのか、よく見えていませんでした。

 そこで導入したのが、「CC(Carrying Capacity)」という指標で、サービスが構造的に維持できるDAUの上限値を表します。CCはもともと生態学の用語ですが、プロダクトグロースの文脈に置き換えると、次のシンプルな計算式になります。

「CC(DAUの上限)=(1日あたりの新規流入ユーザー数)÷(1日あたりの離脱率)」

 今の状態でDAUがどこで頭打ちになるかが一目でわかるようになります。上限にまだ余裕があれば新規流入の強化が有効です。しかし上限が近い状態で新規向けの施策に広告費を積んでも、費用を戻した瞬間に数字は元に戻ります。これでは意味がありません。

 CCをプロダクトとマーケティングの共通指標に置くことで、「今はリテンション改善を優先すべきフェーズか、新規流入を伸ばすべきフェーズか」を共通認識として判断できるようになっています。マーケとプロダクトが同じ物差しで投資配分を議論できるようになるという点でも大きな意味を持っていると思います。

Brazeで「実験」、購入回数10%向上を確認して本開発

——顧客との対話という方針と、CCという指標のお話をうかがいました。では戦略を具体的な施策に落とし込むためにどのようなことをしていますか?

前本:戦略を具体的に落とし込み、実行するために当社が活用しているのがBrazeです。主に2つの使い方をしています。

 1つ目は、アプリを利用するお客様とのコミュニケーション全般です。プッシュ通知、アプリ内メッセージ、LINEの送受信など、お客様へのコミュニケーションはほぼすべてBraze経由と言っていい状況です。

 2つ目は、プロダクト開発における「実験の場」としての活用です。エンジニアリソースをかけて機能を開発しても、お客様に響かないことは珍しくありません。できるだけリスクを抑えた状態で開発に入るために、マーケ側がBrazeでテストをし、リフト効果が確認できてから開発に移すことで、無駄な投資を防いでいます。

 たとえば、特定の行動をしたお客様にクーポンを配布する施策があります。本来であればクーポン配布の仕組みやメッセージ配信の制御など、多くの開発工数が必要です。しかしBrazeのイベント起点による配信自動化と、「Liquid」言語を使い、一人ひとりに合った動的なメッセージの出し分けを組み合わせることで、実装に近い体験を事前に再現できました。実際に試したところ、対象セグメントの購入回数が約10%向上する結果に。これをもとに本格開発への移行が決定しました。

 準備から結果確認まで1週間ほどなので、スピーディーにPDCAを回せます。また、結果ありきで開発を依頼できるので、プロダクトチームの納得感も高まっています。

Braze MCP×Claude Code×BigQueryでマーケターは「問い」に集中

——Brazeを使った実験で効果が確認できたら本格開発へ、という流れは非常にスムーズですね。打ち手を継続的に改善していくには、データを活用した仮説立案と検証が欠かせないと思います。

前本:当社ではBraze MCPとClaude Code、BigQueryを組み合わせ、マーケターは「問いかける」だけで分析が完了する仕組みを構築しています。たとえば「このキャンペーンの配信対象者と非対象者で、7日後のリテンションレートに差があったか分析して」と自然言語で投げかけると、Braze MCPからキャンペーンIDや配信期間などの情報を取得し、それをもとにBigQueryを叩いて実際の配信対象者・クリック者のその後の行動やLTVまで自社データと紐付けて分析します。

 さらに分析レポートとグラフの生成、ネクストアクションの提案まで一気通貫でスピーディーに出力されます。これまで数時間から半日かかっていたリードタイムが数分にまで短縮されました。

 特に、施策を実施した後の振り返りがスピーディーになりました。「大変だから後回しにしよう」という心理的な障壁が消えたので、やりっぱなしにならない。すぐに次の施策を考えられるようになっています。

——スタートアップは予算も限られているかと思います。Brazeはその観点でいかがでしょうか?

前本:1つの施策で想定以上の成果を得ることも多く、ROIとしては間違いなくプラスです。定性的な価値も大きいと感じています。たとえばアプリ上でインシデントが発生した際に、Brazeを用いて該当するお客様に対して即座にポップアップメッセージを届けられています。お客様が問い合わせフォームを探して連絡するのと、それより早く「現在調査中です」と問題を把握している旨をお伝えするのでは顧客体験がまったく異なります。Brazeを用いることでマイナスの発生も防げているのです。

平均点を出すことが簡単なAI時代、マーケターに何が必要?

——どんなに優れた戦略、適切な指標、ツールがあっても施策を実行する組織体制やメンバーのマインドが整っていなければ成果にはつながらないかと思います。特にマーケターにはどのようなスキルが求められると考えますか?

前本:正直、悩ましいテーマです。AIによって平均点を出すことが簡単な時代になりました。その上でスタートアップのマーケターには、得意・不得意を問わず事業成長に必要なことをやり切ることが求められると思います。

 特に当社は「100名規模で1兆円規模の企業価値」を目指しているので、特定スキルよりもマインドセットのほうが重要で、AIをツールとして使いこなしながら何でも挑戦できる人と一緒に働きたいという気持ちが強まっています。

 実際、入社3ヵ月のインターン生が、私が新卒3年目のときには出せなかったようなアウトプットを出してくれることがあります。しかもAIの出力をそのまま使うのではなく、きちんとブラッシュアップしてカウシェらしいものに仕上げてくるのです。

——AIを用いて自社らしさを出すことが難所だと思います。そこはどうしているのですか?

前本:過去の議事録や社内のNotionやSlackを参照できるように環境を整えています。そのため、文脈を把握したうえでAIを使いこなせているのだと思います。AIの活用は前提に、そこからどう付加価値を出すかが問われる時代になっていると感じています。

独自ポジションを軸に、対面を重視して成長を続ける

——今回、カウシェの成長の秘訣をうかがいました。御社はDeNAと提携するなど、次のフェーズへ進まれていると感じますが、今後の展望をお聞かせください。

前本:基本的に今の延長線上にあると思っています。「野菜が無料でもらえる買い物アプリ」という独自のポジションを軸に、お客様の体験向上にフォーカスし続けることで、リテンションレートや友達招待数といった数字につなげていきます。Brazeの活用もその一環です。

 インターネットサービスであっても、対面でのコミュニケーションをもっと大切にすべきだと思っています。データでお客様の行動は把握できても、「なぜその行動をしたのか」はデータだけでは見えてきません。直接お会いすることで得られる情報量は圧倒的です。非構造のデータも含めて、プロダクト開発やマーケティング戦略に反映させていくことが重要だと感じています。引き続き、データと施策をBrazeでつなげ、成果に反映させていきたいと思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Braze株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/03 12:33 https://markezine.jp/article/detail/50835