「気温が上がれば売れる」は本当か 複数市場のデータに見る「買い方」の変化
2025年の猛暑下においては、生活者の購買変化が複数市場で同時に表れていた。図1は、冷却商品・食品・化粧品/医薬品・清涼飲料の4つの市場データから浮かび上がった「買い方の変化」の構造をまとめたものである。
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冷却商品では需要の立ち上がりが早まり、食品では「冷たさ」だけでなく「手軽さ」も選ばれる理由になった。また化粧品・医薬品では、暑さ由来の不快を和らげる用途が広がっている。一方、清涼飲料では猛暑にもかかわらず一部カテゴリーの勢いが続かず、「気温の高さ」だけでは売れ行きを説明できない実態が明らかとなった。
特に重要なのは、猛暑によって生活者の「購買タイミング」や「商品を選ぶ基準」そのものが変化している点だ。
暑さの早まりや夜の猛暑、さらに値上げも相まって、生活者の意識は「本当に必要なものを厳選して買う」方向へと移っている。これからの夏商戦においては、こうした生活者の変化を前提にして、戦略を組み立て直すことが不可欠となる。
「7月からの本番待ち」では遅い。6月へと前倒しする需要の波
2025年夏の特徴としてまず挙げたいのが、需要の立ち上がりが明らかに「前倒し」になった点である。
冷却商品市場の動きを見ると、2025年6〜9月の市場規模(金額)は380億円と前年同期比106%で伸長した。これを月別前年比で表したのが図2だ。特に6月は前年比141%と極めて大きく伸びており、暑さの早まりがそのまま購買の前倒しに直結したことが読み取れる。
出典:インテージ SRI+(全国小売店パネル調査)
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この前倒し傾向は、冷却商品だけの話ではない。化粧品・医薬品市場では、虫さされ対策商品の販売ボリュームが7月中心から徐々に6月へシフトしてきており、2025年は6月の高温化がその動きを後押ししたと考えられる。気温が高くなる時期が早まれば、生活者の対策行動も当然早まる。いまや「夏本番」はカレンダーではなく、体感気温で始まっているのかもしれない。
つまり、夏商戦を「7月からが本番」と捉える従来の販売・販促設計では、生活者の実際の動きとずれてしまう可能性を示している。生活者が「今年は暑い」と感じた時点で、店頭、在庫、広告、コミュニケーションが整っていなければ、せっかく立ち上がった需要を取りこぼしてしまう。今後の夏商戦では、気温や湿度の急激な上昇変化を注視しながら、企業側も「売れ時(需要)の前倒し」を前提に準備する必要がありそうだ。
