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イベントレポート

【TikTok Ad Awards 2026】グランプリは日清食品!成果を生むマーケターの覚悟

 TikTok for Businessは2026年9月29日、広告主向けイベント「TikTok Marketing Summit 2026」にて「TikTok Ad Awards 2026 Japan」の贈賞式を開催した。本稿では、延べ31のノミネートから選出された全5部門とグランプリの受賞作品をレポートする。審査員らのトークセッションから見えた「フルファネル戦略」や「クリエイター共創」の最前線など、今後の出稿に向けたヒントをお届けする。

TikTok広告の進化:認知からフルファネルへ

 2026年9月29日にグランドハイアット東京で開催された「TikTok Marketing Summit 2026」では、2027年に向けたビジネス戦略や最新ソリューションが紹介されるとともに、「TikTok Ad Awards 2026 Japan」の贈賞式が行われた。同アワードは今回で3回目。電通の眞鍋亮平氏を審査員長とし、計11名の審査員によって厳正な審査が実施された。

 贈賞式冒頭のトークセッションでは、TikTokプラットフォームと広告クリエイティブを取り巻く環境の変化について議論が交わされた。初期のTikTok広告は、短尺で目を引く動画を通じて話題を作り、ブランドの認知を獲得することが主目的とされる傾向にあった。しかし現在では、その役割が大きく変化している。花王の小林達郎氏は、審査を通じて感じたプラットフォームの変化について「事業全体に対してフルファネルで効かせられるような取り組みがたくさん出てきているのではないかと強く感じます」と指摘した。ここでいうフルファネルとは、消費者が商品を認知してから、興味を持ち、比較検討し、最終的に購買に至るまでのすべての段階(ファネル)を包括的にカバーするマーケティング戦略を指す。TikTok上での認知獲得にとどまらず、実際の購買行動までを一気通貫で促す施策が増加しているのが現在の潮流だ。

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(左から)電通でCXクリエイティブセンター プランナー/アートディレクターの大淵 玉美氏、タレント/俳優のなえなの氏、花王のスキンケア事業部 ブランドダイレクターの小林 達郎氏、ワンメディアで代表取締役CEOの明石 ガクト氏

 また、クリエイティブの表現手法も多様化している。かつては「最初の1〜3秒で興味を惹きつける短尺動画」が定石とされていたが、電通の大淵玉美氏は、伝え方の工夫次第で長尺のコンテンツでも視聴されるようになっていると分析する。さらに、広告と一般ユーザーの投稿との境界線が曖昧になっている点についても言及があった。大淵氏は「(動画広告が)本当に友人が投稿しているくらい目線の近さになってきた感覚があります」と語った。これは、ブランド側がTikTok特有のカルチャーや、エンゲージメント(ユーザーからの反応や共感)を高める設計への理解を深めた結果だと言える。単なる商品のアピールではなく、視聴者の会話に自然に入り込むようなコミュニケーション設計が、現代のTikTok広告には求められているのだ。

日清食品「完全メシ」のクリエイター共創戦略

 今年度、最も優れた成果を上げ、TikTokを代表する広告キャンペーンに贈られるグランプリ、および「Greatest TikTok Creator Collaboration 部門」をダブル受賞したのは、日清食品の「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」だ。同部門は、企業が介在することでクリエイター単体では生み出せない魅力や拡散性を創出し、ブランド課題を解決したキャンペーンを評価するものだ。

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グランプリを受賞した、日清食品ホールディングスの宣伝部でクリエイティブディレクターの岡崎俊英氏(中央右)と博報堂でクリエイティブディレクターの田中裕二氏(中央左)。壇上には審査員長の電通・眞鍋亮平氏(右)と審査員のなえなの氏(左)も

 この施策が注目された最大の理由は、従来の「クリエイター本人に自社商品をPRしてもらう」という手法から脱却し、「逆乗っかり」と呼ばれる特殊な構造を採用した点にある。具体的には、TikTok上で流行している特定のミームとして、人気クリエイターの「ニート医師 井たくま」のフォーマットを流用しながら、あえて本人ではなく、チョコレートプラネットの長田氏がそのモノマネをしてコンテンツを再現するという手法をとった。日清食品の受賞者は、完全メシという商品の理解度がまだ低い現状に対し「エントリーポイントとして知っていただくためにぴったりの企画を探しました」と背景を語り、「インフルエンサーの皆様にやっていただくだけでは満足できない」という独自の視点からこの着地に至ったと説明した。

 審査員のなえなの氏は、この施策について「モノマネのクオリティがめちゃくちゃ高く、商品の訴求ポイントがすごく多かったのにも関わらずすべてコンテンツの中にナチュラルに入っていて、視聴者が求めている動画が完成されている」と評価した。元ネタとなるクリエイターやTikTokカルチャーへの深いリスペクトを前提としながらも、商品の機能的価値を違和感なくエンターテインメントに落とし込んでいる。企業とクリエイター、そしてユーザーの三者にとって有益な形を構築したこの事例は、今後のクリエイターコラボレーションにおける一つの基準となる設計だ。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/10/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77754

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