AIに聞いて比較検討し、ある程度決めてから問い合わせる。Webサイトを訪れずにAIの回答で情報収集を済ませる「ゼロクリック」の購買行動が、BtoBでも当たり前になりつつある。しかし事業が順調な企業ほど、変わる必要性は社内に伝わりにくい。MarkeZine Day 2026 Autumnでは、AIO(AI検索最適化)を起点に社内を巻き込んできた村田製作所の岡部契治氏と、サービスの訴求を「一言」に絞り込んだGOの中西佑樹氏が登壇。AiKAGIの富家翔平氏をモデレーターに、両社がぶつかった壁と、それを越えるために取り組んだことを語り合った。
セッションが減っても、成果は守れるか
富家(AiKAGI):AIに聞いて情報収集し、比較検討して、ある程度決めてから問い合わせる──これが、BtoBのビジネスにおいてはもう当たり前になりつつあります。企業が受け取る問い合わせのうち10%ほどが「AIに勧められて」、商材によっては3〜4割に近づいているという話も聞くほどです。
皆さんの企業ではWebサイトのセッション数(訪問数)が減っていませんか? 一方で、セッションが減ってもコンバージョンが変わらなければ問題ない、とも言われますが、コンバージョンまで減ったらどうするのか。今日は、そうなる前にどんな施策を打つべきなのか。実際に施策を打ちながら、会社を動かしてきたお2人に聞いていきます。
岡部(村田製作所):村田製作所でグローバルWebサイトの運営やガバナンスを担当しています。前職は金融機関で10数年、まったく畑違いの人間です。現在は仕事の8割ぐらいがAI検索への対応、いわゆるAIO(AI検索最適化)じゃないかというくらいです。今日は成功事例だけでなく、失敗事例もお話しします。
中西(GO):GOで執行役員を務め、法人向けサービス「GO BUSINESS」の事業責任者もしています。20代はマーケティングの「マ」の字も知らないまま泥臭い仕事をやってきて、フィリピンでの起業、スタートアップの取締役を経てGOに来ました。
富家:本講演ではマーケティングを、「誰に・何を・どのように」を決める経営としてのマーケティングと、リード獲得や認知といったファンクションとしてのマーケティングに分けて考えます。

村田製作所:「まだ困っていない」ことが一番の壁だった
富家:では、それぞれがぶつかった壁から教えてください。村田製作所は電子部品メーカーで、顧客は製品をつくる設計者の方々、売上の主は海外です。岡部さんは、その海外からの適切な流入を増やすべく、AIOをはじめとするWebマーケティング施策を進めたとうかがっています。当時の村田製作所はどんな状況でしたか。
岡部:現状のビジネスがうまく回っているからこそ、Webマーケティングに取り組む理由が、伝わりにくい状況でした。Webサイトをこう変えたいという提案にあまり反応がない一方、生産管理や工場の自動化はすごく盛り上がっていました。投資の因果関係が見えやすい領域だからです。「今後は、顧客である設計者の方々がまず、Webで調べる時代が来る」と私は信じていたのですが、それがいつなのかを可視化しづらかったです。
富家:マーケターは取り組むべき課題だと考えているのに、事業部側はまだ困っていない。案外、同じ状況の方は多いかもしれません。
岡部:AI時代になったことで、このトレンドは社内で理解してもらいやすくなりましたね。電子部品業界でも、設計者がAIで調べてそのまま購買行動に進むようになっています。
富家:とはいえ、トレンドを説明するだけでは人は動かないですよね。
岡部:まさに。総論では賛成してもらえても、いざWebの改善のために事業部や海外部門にリソースを割いてもらおうとすると断られることもありました。そこで必要だったのは「説明」ではなく「翻訳」でした。
岡部:マーケターはセッションやCVRなどの数字のイメージを語りがちですが、事業側は「自分たちが売ることにどう役立つのか」まで言わないとイメージがつかない。特に難しかったのは海外部門です。自分たちの目指したい姿を発信しても最初はまったく響かず、聞いてもらえない、わかってもらえないもどかしさがありました。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。
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