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世界動向の先を読む「もう1つの視点」

米国でラウンドワンとGENDAが急伸中 日本のIPが米国で化ける「見えない技」

榮枝 洋文[著]

 米国最新情報レポート「MAD MAN REPORT」を毎月発刊している榮枝洋文氏の視点を借り、国内外の企業の動きやグローバルの潮流を解説している本連載。今月は、米国で急伸中のラウンドワンとGENDAにフォーカス。2社の異なるIPビジネスの型を紐解き、IPの海外展開で押さえるべき要点を考えていく。

百貨店の跡地を「底値」で押さえたラウンドワン、米国売上は797億円に

 米国のショッピングモールでは、この10年、テナントの退店が相次いでいる。Sears、JCPenney、Macy'sなど、モールの両端を支えていた百貨店が次々に床を明け渡した。ECに客を奪われた大型店の跡地は、家賃が安い。ただし、客足の途絶えたモールにあえて乗り込むテナントはそういない。

【図1】米国の「モールの終焉」と言われる風景(出所:New York Times、2020年12月17日)
【図1】米国の「モールの終焉」と言われる風景(出所:New York Times、2020年12月17日)

 そこに救世主のごとく現れたのが、大阪の郊外ボウリング場発祥の「ラウンドワン(Round 1)」だ。同社はカリフォルニア州ローズビルで2018年に閉店したSearsの跡地に、アーケード機300台、ボウリング8レーン、カラオケルームを配置。米国の店舗数は59店舗(2026年4月時点)に上る。売上は日本国内の1,087億円に対し、米国は797億円(セグメント利益86億円)と、いまや強力な収益の柱となっている。

 筆者が注目するのは、この成長を支える「見えざる3つの技」だ。

  1. 見逃されがちな「床・棚を仕入れる」型:モール側は百貨店跡地を埋める「集客の錨(アンカーテナント)」を欲しがっており、ラウンドワンは家賃交渉で圧倒的に優位に立てる。出店先はマンハッタンのような一等地ではなく、郊外の空きスペースだ。
  2. 「IPキャラクターとのコラボビジネス」の型の輸出:日本国内で月30本近くのアニメやアーティストとのコラボを展開する仕組みをそのまま持ち込み、2026年夏には「ONE PIECE」と日本100店舗・北米59店舗で同時キャンペーンを実施した(図2)。
  3. 「棚」と「IP在庫」をセットで回す型:正規ライセンスの限定グッズが手に入る場所という価値は、置いただけでは続かない。毎月の新景品の告知、売れ筋の入れ替え、質の高いフードホールとの組み合わせで「また来る理由」を作り続ける。棚とIP在庫を切り離さずに回す「型」こそ、日本企業の見えない資産である。
【図2】米国ラウンドワンのIPキャラクターとのコラボキャンペーン(出所:Round1usa.com)
【図2】米国ラウンドワンのIPキャラクターとのコラボキャンペーン(出所:Round1usa.com)

 実際、米国の公式SNSは毎月「今月の新景品」を告知しており、ポケモン、サンリオ、セーラームーン、チェンソーマン、初音ミク、葬送のフリーレンなどがずらりと並ぶ。現地で入手困難な正規ライセンス品を大量に確保するラウンドワンは、米国のZ世代にとって「本物のIPが手に入る唯一の場所」になっている。米国の顧客が見ているのはぬいぐるみだが、その背景では、20年かけて磨かれた日本のゲームセンター運営の型が丸ごと稼働している。

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企業価値に10倍の差。負債を抱えない強みがDave & Buster'sとの明暗を分けた

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

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