はじめに:「明日からうちのEC、よろしく頼むね」
はじめまして。株式会社アルビオンの榊原隆之です。1991年にアルビオンに入社して以来、全国の百貨店、化粧品専門店を回り、営業一筋でやってきました。化粧品カウンターでの商談、売り場づくり、お客様との対話。そんな日々を35年近く続けてきた私が、ある日突然、ECを担当することになりました。
カートシステムの選び方も、SEOという言葉の意味も、CSVもわからない。完全な「しろうと」からのスタートです。この連載では、専門家のきれいごとではなく、現場で苦しんだからこそ見えた失敗の繰り返しと、座右の銘である「お客様最優先」をデジタルの上で体現するためのチャレンジをお届けします。突然EC担当に任命された方の、少しでも役に立つ教科書になればうれしいです。
「ECをやらない」と宣言してきた会社
アルビオンは1956年3月2日、東京・銀座で生まれました。「世界一の高級化粧品メーカーになる」という夢を掲げ、社員十数名でスタートした会社です。私たちがずっと大切にしてきたのは、販売店舗での実感体験でした。お客様の肌に触れ、状態を確認し、その場で最適な一品を選ぶ。百貨店や化粧品専門店という、ブランドの世界観を直接伝えられる場所で生まれる体験の質にこだわってきました。
ですから社内には長らく、「ECはやらない」という空気がありました。私自身もそれを当然だと思っていました。対面でなければ、アルビオンらしさは伝えられない。そう信じていた一人です。
