印刷ECで国内トップクラスのシェアを誇るラクスルが、新サービス「ラクスルビジネスモール」を始動させた。約15年の歴史で築いた364万人超の顧客基盤を背景に、60万点以上の既製品の消耗品・備品を取り扱う。既存事業とのカニバリを恐れずクロスセルを狙う戦略、ベトナムの開発拠点を活かした迅速なシステム構築、そして「特定カテゴリー」から「総合モール」へと舵を切ったデータドリブンな意思決定。事業責任者の高須亮氏に、レッドオーシャンに挑む後発ならではの戦い方を聞いた。
印刷のラクスルから「ビジネスのインフラ」へ。
━━まずは高須さんの役割と、現在担当されている業務について詳しく教えてください。
高須 亮(以下、高須):私は現在、ラクスルビジネスモールのマネージャー兼事業責任者を務めています。主な業務は、商品の仕入れから事業戦略の策定、さらにはそれらを実現するためのオペレーション構築まで、一気通貫で担当しています。基本的には私が戦略の意思決定を行い、実際の運用についてはチームメンバーと連携しながら進めている形です。
━━今回リリースされた「ラクスルビジネスモール」とは、どのようなサービスなのでしょうか。
高須:一言で言えば、法人のお客様が必要とする「ビジネス消耗品・備品」を幅広く扱うECサイトです。現在はコピー用紙や文房具、清掃用品など、約60万点の商品、3,000ものカテゴリーを取り揃えています。業種を問わず、あらゆるビジネスシーンで必要となる消耗品・備品が、ラクスルに行けば手に入る。そうした世界観を目指しています。
━━ラクスルはこれまで約15年にわたり、印刷事業をコアとして成長してきました。このタイミングで既製品(非カスタマイズ品)のECへと大きく拡張された背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。
高須:これまで多くのお客様に印刷サービスをご利用いただいてきましたが、私たちはラクスルを単なる「印刷会社」ではなく、より利便性の高い「ビジネスプラットフォーム」へと進化させたいと考えています。直近ではM&Aを通じてサービス領域を広げていますが、既製品販売の拡張もその一環です。背景にあるのは、お客様から寄せられた切実なニーズです。実際、アンケートを実施したところ、印刷物だけでなく、日常的に使う既製品もラクスルで購入したいという声が非常に多かったのです。お客様が他社でどのような商品を購入しているのか、業種ごとにどのようなニーズがあるのかを深掘りしたところ、単なる「価格」だけでなく、品質やデザインの選択肢、そして何より「いつものラクスルでまとめて買える」という利便性を重視されていることが分かり、立ち上げを決断しました。
ベトナム拠点×既存資産の転用 迅速な立ち上げを支えた開発体制
━━新サービスの企画からリリースまで、どのような体制で進められたのでしょうか。
高須:体制は大きく「ビジネス」「エンジニア」「オペレーション」の3つの組織に分かれています。ビジネスやオペレーションパートはそれぞれ数名で構成していて、エンジニアについては、私たちのベトナム支社にいるチームがサイトの構築やエラー対応を担当しています。
━━これほど大規模なモールをどのように迅速に構築できたのか、システム構築の裏側を教えてください。
高須:フルスクラッチでゼロから作ったわけではなく、既存の自社サービス資産をうまく「コピー」して活用しています。ラクスルには既にノベルティやDM、エリアマーケティングといった複数のサービス基盤がありました。それらのシステムをベースに既製品販売向けにカスタマイズすることで、開発スピードを劇的に高め、他のサービスとの親和性も確保できました。
━━具体的に、印刷ECのシステムを「既製品販売向け」に変える際、どのような調整が必要でしたか?
高須:データの持ち方が根本から異なります。印刷サービスの場合、用紙サイズや印刷仕様、納期といった「カスタマイズの組み合わせ」によって商品が構成・管理されています。一方、今回のモールでは、JANコード(商品識別コード)や商品番号といった商品単位での管理が基本です。この「印刷特有のロジック」から「既製品販売のロジック」への転換が、システム構築において最も注力したポイントの一つです。
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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)
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