横浜F・マリノスが直面していたMD事業の課題と背景
━━従来のクラブMDやEC・店舗運用において、横浜F・マリノスが直面していた課題とは何だったのでしょうか。また、パートナーとしてファナティクス・ジャパンを選んだ決め手についてお聞かせください。
永井:クラブとしては、ファン・サポーターの皆様の体験価値を向上させるための取り組みを続けてきました。チケッティングやスタジアムでの観戦体験はもちろん、グッズもその中に含まれます。
試合日の物販やスタジアムショップ、ECの体験価値をもう一段引き上げるには、現状のリソースとノウハウでは限界があると感じていました。そして、専門的な知見を持つパートナーと組むことが最善だという結論に至り、ファナティクス・ジャパンさんとご一緒することになりました。複数社とお話しさせていただいた中で、私たちが目指す未来像に最も合致する提案をいただいたことが最大の決め手です。
━━未来像に合致する提案とは、具体的にどのような内容だったのでしょうか。
永井:より多くの方々に横浜F・マリノスのグッズを手に取っていただくために、「街中にお店があった方がいいのではないか」という路面店展開のご提案をいただきました。我々も将来目指すクラブ像を実現するためには避けて通れない道だと考えていたので、まさに我々の見据える姿と一致しました。
また、昨今の人件費高騰や物流費の上昇を踏まえると、自社単独で億単位の物流インフラやシステムへ大規模投資を行うのはリスクを伴います。そこで、物流や生産基盤を持つファナティクス・ジャパンさんの力を借りてオペレーションの効率を最大化しつつ、我々は強みである「商品企画」や「ブランディング」にリソースを集中させる形を取りました。
店舗刷新と最短翌日配送ECが生み出すOMO戦略の狙い
━━スタジアム店舗や路面店の刷新といった「リアル」の体験と、最短翌日配送を実現する「EC」をどう連動させていくのでしょうか。OMO戦略の狙いと目指す顧客体験についてお聞かせください。
永井:商品販売の拡大を狙うのはもちろんですが、同じくらい大切なのはファン・サポーターの体験価値の向上です。現状、試合日のリアル店舗では長蛇の列が発生し、購入機会の損失(機会ロス)や満足度の低下につながっていました。これをレジ待ちが削減できる「回遊型レイアウト」へと刷新し、スピーディかつ快適に買い物ができる動線を構築することで、観戦体験そのものを拡張したいと考えています。
過去に横浜F・マリノスが海外クラブとの試合を行った際、ファナティクスさんがグッズ販売を担当されていました。非常に規模が大きい中でもスムーズに店舗が回転している現場を拝見したことも、期待を寄せるきっかけとなった大きなポイントでした。

━━ファナティクス・ジャパンの宇平さんからも、横浜F・マリノスとのパートナーシップに至った背景をお話しいただけますか。
宇平:ファナティクスでは、「We Amplify “Fandom” ― ファンを熱狂させ続ける」というミッションのもとパートナーのクラブを支援しています。
横浜F・マリノスさんは「“喜怒哀楽” にあふれる豊かな体験を提供し続ける。」というミッションをお持ちで、我々とつながる部分があると感じると同時に、我々だからこそ提供できる価値があると思い、今回パートナーシップの提案をさせていただきました。
宇平:弊社は倉庫インフラに億単位の投資を行っており、人手不足を見据えた自動化設備や配送体制を整えています。通常なら自社ECや物流構築に割くことになる貴重な資本を、クラブの方々は選手補強やコンテンツ開発に集中させることができる。そして、実店舗・ECのCX向上は弊社が引き受ける。これこそがパートナーシップの真の価値です。
そして、永井さんにお話しいただいた試合日のグッズ体験向上に関しても、現在ホームゲームに向けて店舗レイアウトに大きく手を加え、ゆったりと買い物を楽しんでいただける環境の構築を進めています。また、ECに関しても「15時までの注文で即日発送」を実現しています。
