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MarkeZine Day 2026 Autumn

「検索」から「文脈理解」へ。OpenAIが語る、AIエージェント時代のマーケティング変革の全貌

MarkeZine編集部[著]

 2026年9月に開催されたMarkeZine Day 2026 Autumnの「AIエージェント時代のマーケティング変革— 人とAIが拓く、新たな顧客体験の可能性」と題されたセッションでは、OpenAI JapanでGTMパートナーシップ責任者を務める水嶋ディノ氏が登壇。セッションの前半では水嶋氏による最新の技術動向とマーケティングへの実装に関するプラットフォーム視点での解説が行われ、後半は翔泳社 メディア編集部門 執行役員であり『AIdiver』創刊編集長の押久保剛との対談を通じて、AIエージェント時代における実務の変革が多角的に議論された。本記事では、AIの進化が生活者の購買行動や企業のコミュニケーション、そしてマーケターの働き方にどのような地殻変動をもたらしているのか、セッションの様子をレポートする。

本記事は、2026年9月開催のセッションをもとに構成しています。製品・機能・提供状況・数値は、特記のない限り登壇当時の情報です。

OpenAIが見るAI実装の現在地と、マーケティング変革の全体像

 現在、AI技術は社会のあらゆる基盤に組み込まれる実装のフェーズへと本格的に突入している。セッション冒頭で、OpenAIは自社をAIの研究と社会実装に取り組む企業と位置づけ、「汎用人工知能(AGI)が人類全体に恩恵をもたらすようにする」というミッションを掲げていると水嶋氏は紹介した。

 この理念のもと同社は取り組みを拡げ、2026年8月時点でChatGPTの週間アクティブユーザー数は10億人を突破し、OpenAI製品を利用する企業数も、前年の約2倍となる200万社超に達している。これは、AIが一般の生活者や企業の日常的なインフラとして定着したことを示している。

 セッションでは9月に発表されたばかりの当時の最新モデル「GPT-6 Astra」の紹介もなされたが、このような技術の劇的な発達と普及は、企業と顧客の関わり方に根本的なパラダイムシフトを迫っている。水嶋氏は、AIがマーケティング領域にもたらす影響について、「顧客獲得」「顧客体験」そして両方を支える「マーケターの働き方」という3つの軸で全体像を提示した。

 第1の軸である「顧客獲得」においては、会話の文脈(コンテキスト)から生活者のニーズを深く捉え、関連性の高い選択肢を提供するアプローチが重要となる。第2の軸である「顧客体験」では、顧客が企業と接するあらゆる場面にAIのAPIを組み込むことで、一人ひとりに適切な体験を構築することが求められる。

 そして第3の軸が、これらを実現する基盤となる「マーケターの働き方」の革新である。顧客の理解から企画、制作、実装、さらには施策公開後の分析と改善に至るまで一連のプロセスを、AIツールを活用して再定義していく必要がある。

 水嶋氏が強調するように、OpenAIの技術は個人だけでなく、企業を通してその先にいるユーザーや顧客へAIの恩恵を届けるための仕組みとして提供されている。この視点に立ち、企業は単に技術を導入するにとどまらず、顧客へ提供する価値を問い直す段階に来ているという。

 「直接個人へAI技術を提供することはもちろん、企業を通してその先のユーザーや顧客へAIの恩恵を届けることも、すべて我々のミッションに沿ったものだと考え、向き合っています」(水嶋氏)

OpenAI Japan合同会社 執行役員 GTMパートナーシップ 水嶋 ディノ氏
OpenAI Japan合同会社 執行役員 GTMパートナーシップ 水嶋 ディノ氏

キーワード検索から文脈理解へ。「ChatGPT広告」が変える顧客獲得

 マーケティングにおける顧客獲得のアプローチは、生活者の情報収集行動の変化にともない、大きな転換点を迎えている。従来のデジタルマーケティング環境では、ユーザーが検索窓に入力する断片的なキーワードから「何を探しているか」を推測し、それに関連する広告を表示する手法が主流であった。しかし、ChatGPTをはじめとする対話型AIの普及により、ユーザーは自らの置かれた状況や目的、希望する条件を自然言語で詳細に語りかけるようになっている。

 たとえば、単に「大学の寮 必需品」というワードで検索するのではなく、「子どもが大学進学で寮生活を始めます。寒い地域で、部屋も狭めです。必要なものだけそろえるにはどうしたらいいですか」といった、「何が必要なのか」だけでなく背景にある「なぜ必要なのか」という深い文脈を含めAIに相談する行動へと変化しているのである。

 このような「文脈の共有」は、企業にとって顧客の真のニーズに寄り添う機会となる。この対話環境に統合される形で展開されているのが、国内でも配信開始された「ChatGPT広告」である。この広告では、ユーザーとの会話の文脈をもとに、比較・検討の判断材料として会話の文脈に関連する商品やサービスの広告を、広告であることを明示した上で回答とは分けて提示する。特筆すべきは、顧客との対話が単一の検索行動で完結せず、出会いから選び、使い続ける体験へと連続していく点である。

広告はChatGPTの回答内容に影響せず、会話やチャット履歴を広告主に共有することはありません。ユーザーは広告のパーソナライズを設定で管理できます。

 たとえば家庭用コーヒーメーカーの検討を例に取ると、「家庭でおいしいコーヒーを飲みたい」という相談から始まり、抽出方式の違いの比較、自身の好みに合う機種の選定、購入先の検討、さらには購入後のより良い淹れ方の相談に至るまで、顧客の課題解決を一貫して支援する過程で関連情報が届けられるのだ。

 ChatGPT広告は、2026年5月には広告マネージャーの導入によって中小企業へのセルフサービス展開が開始され、同年8月の発表時点では提供地域は世界40ヵ国を超え、数万社の広告主が参画。年率換算の売上高も10億ドルに到達しており、その成長の勢いは目覚ましい。

 「出会いを作る広告から、選び、使い続ける体験へ」という水嶋氏の言葉が示すように、生活者がAIに対して長期的な課題解決の包括的な支援を求めるという変化が起きている。そのため、マーケターには、自社の商品情報が顧客のどのような目的達成や判断に役立つのかを再定義し、自然な対話の中で選ばれるコンテキストまで設計する能力が求められている。

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広告の先にある顧客体験もアップデートが不可欠に

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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