SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

MarkeZine Day 2026 Autumn

「筋のいいCEP」を発掘し戦略策定に繋げるには?理想の調査サイクルと既存戦略との繋げ方

落合 真彩[著] / 川口 紘[写] / MarkeZine編集部[編]

 カテゴリーエントリーポイント(CEP)の重要性を理解しても、「どう見つけ、どう定義し、戦略に落とすか」でつまずく企業は少なくない。9月に開催されたMarkeZine Day 2026 Autumnには、suswork 代表取締役の田岡凌氏が登壇。100回以上のCEP調査で得た発掘手法と、実行までに潜む「11の罠」、さらにX-Opsとの共同研究から初公開された「人の想起とAIの推薦のズレ」を紹介した。後編となる本記事では、CEPの実務からAI時代の想起獲得までをレポートする。

質の高いCEPを発掘するには?「点」で終わらせないCEP探索

 「CEPはどうやって見つけ、どう策定するのか」。田岡氏自身、100回以上の調査を重ね、失敗も重ねてきた。その中でわかったのは、CEPの発掘~策定の質が戦略の質を大きく左右するということだ。

suswork株式会社 代表取締役 田岡凌氏
suswork株式会社 代表取締役 田岡凌氏

 田岡氏は発掘手法を、有用性と取り組みやすさの2軸で整理した。

CEPの発掘・策定方法(有用性と取り組みやすさ)
CEPの発掘・策定方法(有用性と取り組みやすさで整理)

 最も取り組みやすいのは、オンラインデータの活用だ。ただし有用性は限定的で、未知のもの、珍しいもの、共有したくなるものに偏りやすい。口コミ・UGCの分析も同じ弱点を持つ。AIにプロンプトを工夫して聞けば、CEPを30個出すことも難しくない。

 「これらの手法から出てくるのは、顕在化していて、お客様が言語化できるカテゴリーエントリーポイントだけです。発信しやすいもの、発信したくなるものにも偏ってしまいます」(田岡氏)

 コミュニティは取り組みやすいが、ロイヤルユーザーに偏る。社内外でCEPを洗い出すワークショップは、取り組みやすく有用であるが、新たなCEPの発掘にはやや難しさがある。

 そこで田岡氏が提案するのが、定性パネル調査×顧客・KOLへのインタビューなど、定性調査の組み合わせだ。定性調査では、インタビューでCEPについて掘り下げキーワードを抽出する。たとえば、「隙間時間に」という回答が「仕事終わりに、自宅まで帰る電車に乗る直前」「仕事で会議が始まるまで待っている時間」の話だったとわかったりする。インタビューは有用性が最も高い一方で、インタビュー技術とn数の確保が難しい。それでも、お客様自身は言語化できていなかった瞬間を、6W1Hで聞き出すことで言語化できると田岡氏は語る。

 インタビューを試みたが「何もわからなかった」という人もいるかもしれない。しかし、田岡氏はCEPについてファクトを通じて解像度を上げていくことが大事だと説く。定性調査で新しいCEPを見つけ、インタビューで深掘りし(ディープダイブ)、定量の大規模調査で反応を見て、仮説と検証を重ねていく、このサイクルを回すことが重要である。

 「CEPは時代によって変わっていくものだと捉えています。その“変化”を捉えられると、伸びているCEPや、他社が落としているCEPが見えてきます。そして、なぜそのような変化が起きているのか、社会や生活者の背景を理解することにこそ価値があります」(田岡氏)

ポイント1:簡単に集められる手法ほど、顕在化した・発信したくなる・ロイヤル顧客のCEPに偏る。定性のディープダイブと大規模調査を往復しながら、継続的に更新する。

調査をしたが戦略に昇華できない…CEPで陥りがちな11の罠

 CEPの調査はしているが、戦略がうまく立てられない……こうした壁に直面した人もいるのではないだろうか。田岡氏は、そうした企業のパターンを書き出して分析し、「CEPで陥りがちな罠」を11項目に整理した。

CEPのよくある罠11
CEPのよくある罠11(発生度を★で評価。特に「発掘・策定」と「戦略実行」に課題が集中)

 田岡氏によれば、最も多いのが、CEPは見つかったものの、戦略につながる解像度で定義できていないケースである。

 いまやAIを使えば、CEP候補は簡単に並べられる。だからこそ、CEP候補を並べた後の「戦略の質」で大きな差がつく。田岡氏は、質の高い戦略を描くために、調査の段階から「このCEPが有効なら、どんな戦略・施策まで描けるか」を想像しながら、戦略から逆引きして調査を設計しているという。

 実行段階の罠も根深い。CEP戦略を立てても、広告代理店にブリーフして出てきたクリエイティブが従来と変わらないというケースも散見される。それが狙ったCEPに紐づくのか、そのCEPで想起を上げられるのかを、誰も検証しないまま進んでしまうからだ。分断された組織では把握しにくいため、責任者のもとでワンチームで進めるのがおすすめだという。

ポイント2:AIでCEPを並べられる時代、差がつくのは「戦略につながる解像度」と「施策への紐づけ・検証」。責任者を置いたワンチームで回す。

次のページ
WHO/WHAT戦略とCEP戦略は対立しない

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
MarkeZine Day 2026 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

Special Contents

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング