「Z世代」という言葉の定着から月日が流れ、固定化されたイメージと実像との乖離が広がっている。博報堂生活総合研究所の酒井崇匡氏が、長期時系列調査データを基に「若者消費論のウソ・ホント」を解説。Z世代後半(19歳から22歳)のリアルな実像と、彼らの消費を動かす「母」や「同性」との関係性から、企業が向き合うヒントを提示する。
Z世代の誤解と、今も昔も変わらない姿
「いつの時代も若者とは、上の世代からするとなんだかよくわからない存在です。その中で『こうだよね』という言説の中には、結構嘘も混じっています」(酒井氏)
講演の冒頭、博報堂生活総合研究所の酒井崇匡氏はそう切り出した。同研究所では、1994年と2024年に首都40キロメートル圏で若者調査を実施した。現代の若者「Z世代」と呼ばれる層は10代後半から30代前半と幅広いため、本調査ではそのほぼ中央に位置する19歳から22歳の「コアZ世代」を対象としている。
また、1994年当時の若者(現在の50歳前後にあたる団塊ジュニア世代)と、2024年の若者(コアZ世代)を比較するだけでなく、かつて若者だった現在のミドルエイジ層も分析することで、若者像の変化と「現在の世代間ギャップ」を同時に紐解く設計となっている。
講演は同調査および、コアZ世代に対して実施したインタビューに基づいて、リアルな若者像を探るというものだ。はじめに酒井氏は、時代を超えても変わらない普遍的な若者像について言及した。
「映画に関心がある」「着るものにこだわる方だ」「ヘアスタイルの情報を得るのが早い」といった項目は、ミドルエイジよりも若年層のほうが高い値を示している。一方、今のミドルエイジの30年前の数値(30年前の若者)と今の若者の数値を比較すると、ほとんど変わらない値だ。
「『流行に敏感』『買い物は外観も重視する』といった感度や、人間関係への積極性は今も昔も変わらない若者共通の特徴です」(酒井氏)
今の若者は「ベンチャー志向・社会意識が高い」は本当?
一方で、世間で語られる「今どきの若者像」には多くの誤解も存在する。その代表例が「ベンチャー志向が強い」というイメージだ。
「ベンチャービジネスより大企業志向」という項目は、1994年の段階では4割弱だったが、現在は6割に達し逆転している。「学歴は高いほどいいと思う」も4割から6割へと上がっている。「大企業志向や学歴重視の傾向はむしろ強まっている」と酒井氏は指摘する。
背景として、親世代が「失われた30年」の厳しさを経験している点や、4年制大学への進学率が57.7%まで上昇し、教育への投資回収意識が高まっている点を酒井氏は挙げる。また、共働き世帯が専業主婦世帯の2.5倍となり、働く母を見て育つ中で、現実的なアドバイスを受けている影響も大きいと考えられる。
さらに、「SDGs教育を受けているため社会意識が高い」という見方にもデータは相反する。
「環境保護を考えた商品なら割高でも買う」「不便な生活もガマンできる」といった意識は軒並み減少している。
「不便や割高感を我慢してまで行動する若者は減っており、日本においては1990年代から一貫して上の世代のほうが環境意識が高いのが実情です」(酒井氏)
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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