ローリスクな仲間と一緒にいたい、強まる「同性の友人」の存在感
母親との距離が縮まる一方で、異性間コミュニケーションは慎重化している。「恋人がいる」割合自体は過去30年で大きく変わらない(2〜3割程度)が、「友人として交際中(デートをする関係)」の異性が激減しており、恋愛的な消費が大きく後退した。
代わって密接になっているのが「同性の友人」だ。「一緒にいて楽しい相手」「落ち込んだ時に一緒にいてほしい相手」として同性を選ぶ割合が急増している。
「性や交際に関するコンプライアンス意識が高まった結果、異性に対しては『地雷を踏まないように』気を遣う必要があります。そのため、一切の気を遣わずに済む同性が『ローリスク仲間』や『コンプラ解放区』として機能しているのです」(酒井氏)
さらに、同性の中でも「小学校以来の友人」を最も親しい友達に挙げる若者が約3人に1人(34.5%)に達しており、幼馴染との関係性を大切にする傾向が強まっている。つまり子どもの頃からのコミュニケーションを維持し、安心して付き合える同性の友人が若者にとって大きな存在になっている。
母と同性が消費の着火点。企業へのヒント
続いて酒井氏は消費行動に目を向ける。購買環境がECへシフトする中でも、「良いものが欲しい」「新製品を試したい」といった価値観や欲求自体は衰えていないことを示した。一方で、「ものがあふれている」「欲しいものが思いあたらない」と感じる若者は増加しており、欲求の芽を生み出しにくい状態にあるという。
ここで消費の着火点となるのが「母」と「同性」だ。美容やファッション以外のカテゴリーではインフルエンサーよりも親や友人の影響力が優勢だ。また、友人や同世代が選んでいるものが気になるカテゴリーも30年で増加傾向にある。
「特に『母と共通の趣味がある』若者が増えたことで、母親の暮らしや愛用ブランドが自然と子どもへシェアされています。暮らしも『遺伝』するルートが明確に存在します」(酒井氏)
同性同士に目を向けると、ギフト需要も盛んだ。誕生日に同性の友人からプレゼントをもらう男性は23.9%から66.9%へ急増(平均額約5,000円)。コスメや酒類、飲食店など、同性のチョイスが新たな発見をもたらす場面が増えている。
以上を踏まえ、酒井氏は、企業がZ世代にアプローチするためには心理的安全性の担保が不可欠だと語る。
「コンプライアンス意識の強化にともない、日本の若者は世界と比較しても『他人は信用できない』という意識を強めています。若者に『身内』として受け入れられるためには、企業側から弱みを見せていくような歩み寄りの姿勢が求められます」(酒井氏)

若者が求める「心理的安全性」をいかに提供できるか。自分の若い頃はこうだったという固定観念を捨て、彼らの安心できる領域に寄り添う姿勢こそが、これからのマーケティングにも求められている。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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