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イベントレポート

【TikTok Ad Awards 2026】グランプリは日清食品!成果を生むマーケターの覚悟

ブランド認知変容とAI活用のクリエイティブ

 「Greatest Branding 部門」を受賞したのは、日清食品の「日清食品ポックンミョン×おひなさまTikTokキャンペーン」だ。

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同部門を受賞した、日清食品の担当者(中央左)とADKマーケティング・ソリューションズの担当者(中央右)。両脇は審査員として登壇したなえなの氏(左)と、博報堂でクリエイティブ局 クリエイティブディレクターの杉山 芽衣氏(右)

 本部門は、広範なリーチと独自の世界観によってブランドイメージの変容(パーセプションチェンジ)を達成した事例を評価する。このキャンペーンでは、「韓国風甘辛焼そば」という商品の物理的な特徴を訴求するのではなく、ターゲットである若年女性が「かわいい」「真似したい」と感じるような“遊ばれるブランド”への認知転換を図った。人気クリエイターのキャラクター性と、過去に流行したネタを掛け合わせることで、幅広い世代の関心を獲得している。審査員の博報堂・杉山芽衣氏は「人気のクリエイターをベストのタイミングで使いつつ、日清さんらしさを加えることでもっとクリエイターがよく見える形になっていました」と分析し、ブランドらしさとトレンドの高度な融合が波及効果を生んだと指摘した。

 一方、新しい体験や手法を提示したキャンペーンに贈られる「Greatest Innovative 部門」は、メルカリの「メルカリ×AIクリエイティブPDCA」が受賞した。

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同部門を受賞した、メルカリの担当者とHakuhodo DY ONEの担当者ら(中央4名)。両脇は審査員として登壇したサイバーエージェントでインターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門の洞ノ上 茉亜子氏(左)と、電通・大淵氏(右)

 昨今、生成AIを業務効率化に用いる事例は増加しているが、本施策はAIを単なる制作ツールとして扱うのではなく、広告運用のPDCA(計画・実行・評価・改善のサイクル)自体に組み込んだ点が特徴だ。メルカリの担当者は「AIが進化して動画を作り出すことが重要になってきました。その中でも速度にこだわり、企画からリリースまで1週間程度で制作し、実際に効果がすごく高かった」と成果を語る。

 審査員のサイバーエージェント・洞ノ上茉亜子氏も、「顧客のインサイトをAIで抽出してPDCAを回し、企業の中にAIを活用したクリエイティブ制作の新しい文化を作っていこうとしている点」を評価した。テクノロジーを広告運用の仕組みに落とし込みながらも、人間ならではの企画性を維持し、低コストで良質なクリエイティブを量産したこの事例は、AI活用の過渡期における一つの解を示している。

成果を出す広告設計とマーケターに必要な覚悟

 一連の受賞作品や審査員の議論から見えてくるのは、現在のTikTok広告において成果を出すためには、単なる思いつきのおもしろさだけでは不十分だという事実だ。審査員長の眞鍋亮平氏は総評として、「TikTokのカルチャーやクリエイターへの深いリスペクトを感じる表現ができているかが厳しく見られていたと思います。やりきれているチームが視聴者の心を動かし、大きな成果・売上につなげることができている」と述べた。

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審査員長を務めた、電通の執行役員でエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターの眞鍋亮平氏

 広告主が伝えたいメッセージと、ユーザーが求めるエンターテインメントのバランスを取ることは容易ではない。電通の大淵玉美氏は、代理店のプランナーの立場から「広告主様が伝えたい内容をそのまま正しく伝えてしまうと伝わらないことがあり、生活者の目線に寄りすぎてしまうとブランドの魅力が伝わらなくなったりします。そのバランスの設計を丁寧にすることが大事」と語る。視聴者のコメントなどからインサイトを拾い上げ、共感を生むための緻密な設計を根気強く行うことが求められるのだ。

 また、TikTokに最適化されたフォーマットをなぞるだけでは差別化が難しい時代に突入している。ワンメディアの明石氏は「今年は『TikTokっぽい』ということだけでは、正直受賞に至るレベルにはならない」と断言し、プラットフォームナイズされていることを前提とした上で、いかに頭一つ抜け出すかの競争になっていると警鐘を鳴らす。

 最後に、花王の小林氏が語った読者へのメッセージを引用する。「抱える課題に対して事業会社側が『腹をくくったな(覚悟を決めたな)』という作品がいくつかあります。その腹のくくり方みたいなものを私もリスペクトしていたので、そういう部分も見どころになるのではないかと思います」。最新のテクノロジーやプラットフォームの特性を理解した上で、自社のビジネス課題解決に向けてどこまで本気でクリエイティブに向き合えるか。マーケターには、緻密な戦略設計と、それを実行に移す覚悟が問われているのだ。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/10/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77754

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