統計が示す「物価高」と「実質賃金」の今
物価高を語るときによく目にするのが、総務省統計局「消費者物価指数(以下、CPI)」、厚生労働省「実質賃金指数」の2つである。CPIは過去の時点と比較し、価格がどのように変動したかを表す指標であり、実質賃金指数はCPIを用いて物価変動の影響を除き、生活者が受け取るお金の価値がどのように変化しているのかを表す指標である。
図表1を見ると、CPIは2022年初めを境に上昇し始め、今日に至るまで上昇し続けていることが確認できる。特に生活に大きな影響を与える「食料」「生鮮食品を除く食料」では、2026年3月までの数年間で、価格が約3割上昇したことがわかる。
一方、実質賃金指数は、前年比マイナス圏からなかなか抜け出せていないことがわかる。これは、昨今の最低賃金の上昇や春闘などを通して受け取る給料が上昇しても、物価上昇のスピードには追いつかず、生活者の実質的な消費余力が目減りしていることを意味する。
出典:総務省統計局「消費者物価指数(2020年基準)」(全国、総合・食料・生鮮食品を除く食料)、厚生労働省「毎月勤労統計調査」(実質賃金指数、消費者物価指数〈持家の帰属家賃を除く総合〉、5人以上、就業形態計、調査産業計)より筆者作成
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物価高を受けて、生活者の行動は変わっているのか
物価・賃金がともに上昇する局面では、生活者が支払う金額は上昇していく。しかし、物価上昇に賃金上昇が追いついていない現状において、実態としては今までどおりの買い物を継続していくことは難しく、「買う量を減らす」「安い商品に変える」など、何らかの行動変化が必要になる。
では実際に、生活者はこうした物価高に直面したとき、どのように行動を変えるのだろうか。本章ではインテージの消費者購買データ「SCI」を用い、特に価格上昇が著しい「食品(生鮮、総菜除く)」に焦点を当て、生活者の買い物の変化を見てみる。
図表2は、物価が上昇し始めた2022年1月~2026年5月の期間における、SCIモニターの食品(生鮮、総菜除く)購買の「平均個数単価」と「購入個数(100人あたり)」が、どのように推移してきたのかを示している。
データ:インテージSCI(エリア:全国)
指標:100人あたり(個数)、平均単価(個数)
集計対象:日配品,加工食品,菓子類,飲料,酒類,その他食品,コンビニCF
期間:2022年1月~2026年5月
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平均個数単価は、2022年に物価高が始まって以降、CPIと同様に上昇傾向にある。一方、購入個数(100人あたり)は、物価上昇にともない減少していることがわかる。物価上昇に賃金が追いついていない現在、食品(生鮮、総菜除く)において、生活者は今までどおりの購買を維持することは難しく、購入個数を抑えることで全体の支出を調整しているといえる。
こうしたCPIなどに表れる店頭価格の変化や、生活者の実際の購買価格、さらには物価の見通しや実質賃金の推移といった詳細な分析については、インテージがナウキャスト社と共同で実施している調査をもとに、渡辺努氏(東京大学名誉教授)、庄司俊章氏(成蹊大学経済学部准教授)が執筆している「インテージ・インフレーション・トラッカー」を参照されたい。
