人も事業も基軸はぶらさず、挑戦を続けた20年
──直近20年の歩みを振り返り、カンロの事業において変わったことや、変わらず大切にされてきたことは何でしょうか。
この20年で最も大きく変わったのは、企業ブランディングの強化です。2017年のCI変更や2022年の企業パーパス「Sweeten the Future 心がひとつぶ大きくなる。」の策定を経てパーパスドリブン経営を推進し、ファンベース軸のマーケティングを実施しています。
異業種での営業を経てカンロに入社。営業を3年間経験した後、開発・マーケティング部門へ異動。以降25年間にわたり開発・マーケティング業務に従事する。2019年より「ピュレグミ」や「カンデミーナ」のブランドマネージャーを務め、2024年より現職(2025年までブランドマネージャーを兼任)。現在は事業全体のマーケティング戦略およびブランドの統括管理を担う。
また、コア事業となるスーパーやコンビニを中心としたキャンディ・グミの製造販売を維持しつつ、直営店「ヒトツブカンロ」やECサイト「Kanro POCKeT(カンロポケット)」、グローバル事業、IP事業などチャネルや事業領域の拡大にも注力しています。
一方で変わらないのは、キャンディ・グミというコア事業に絞り込んでブレなかったこと、そしてメーカーとしての「ものづくりの誠実さ」です。クレド(行動指針)である「創意工夫」「信義誠実」「百万一心」が企業活動の根幹にあり続けています。
時代に合わせたマーケティングミックス施策を推進、売上伸長へ
──この20年で生活者を取り巻く環境も大きく変化しました。変化に応じて広告・コミュニケーション施策をどのように変化させてきましたか。
この20年で健康志向や節約・プチ贅沢の二極化、デジタルへの媒体変化など様々な変化がありましたが、当社にとって最大の転換点は、「コロナ禍」でした。外出自粛によって通勤やオフィスでの消費シーンが消え、2020年のキャンディ・グミ市場は一時期激減したのです。しかし2021年から、在宅ワークでの小腹満たしとして、比較的ヘルシーなイメージがある菓子のグミが選ばれるようになりました。さらに味や食感、パッケージデザインの多様性によりSNSでも話題化・拡散され、グミ市場は伸長を続けてきました。また、予防・健康意識の高まりを背景に、のど飴を中心に飴市場も急速に回復へと転じました。
この変化のなかで、私たちはブランド戦略をゼロから再構築しました。たとえば「ピュレグミ」は、もともと「おしゃれ可愛い」イメージから10~20代を中心に支持されていましたが、すっぱさゆえに幼少期のお子さんを持つ親子層からは敬遠されがちでした。そこで、おうち時間の親子コミュニケーション需要に向けて、すっぱさを控えめにした「ピュレリング」を投入。さらに、プチ贅沢志向に対してはセンタージュレ入りの「ピュレグミプレミアム」を、健康志向には機能性を持つ「ピュレサプリ」「ピュレスライス」を展開し、ライフスタイルの変化に寄り添うブランドの拡張を実施しました。
コミュニケーション施策自体が、マス中心からWeb・SNSへのシフトが進んでいます。カンロでも直近ではマス・Web・店頭を連動させた、複合的なプロモーションミックス施策を推進しています。これにより、ピュレグミを中心にブランドの売上を大きく伸ばす成果につながっています。
「カンロ」が好きへ、企業ブランドのCX向上を目指す
──これからの時代に向けて、カンロが挑戦したいことをお聞かせください。
現在の課題は、商品認知と企業認知のギャップです。「ピュレグミ」や「金のミルク」といった商品ブランドの認知度は非常に高いものの、「カンロが作っている」という企業ブランドに結びついていないという調査結果が出ています。だからこそ、今後は個々の施策をバラバラに行うのではなく、ファンベース軸でカンロとして統合的なCX戦略を推進し、「カンロ株式会社」そのもののファンを醸成して企業価値を高めていきます。
また、私たちマーケティング本部自体の仕事の質の向上も不可欠です。激しい変化をキャッチアップするため、AI活用はもちろん、「自分たちの力で解決する」という内製的な文化から一歩脱却し、外部の知見を活かしていく体制を強化しています。
さらに、昨今の原材料価格の高騰も無視できない問題です。安売りでボリュームを追うのではなく、2019年から掲げている「顧客起点」での「ブランド基軸経営」をさらに進め、主力ブランドをより価値の高いものへとシフトさせる「高価値化」を提案することで、持続的な成長と拡大に挑戦していきます。
──カンロの次の20年も楽しみです。ありがとうございました!
