消費行動はCM起点から、自分で情報を選び取る時代へ
──まず、PR業界に飛び込まれた経緯と、創業期のベクトルにジョインされた背景をお聞かせください。
大学生のときに創業期のベクトルにジョインしています。この業界になぜ飛び込んだかというと、自分自身の消費行動がきっかけです。元々雑誌やファッションが好きで、ブランドのヒストリーやデザイナーの哲学を隅々まで追いながら、表面的なスタイルだけではないブランドの奥深さをメディアの情報から掴み取り、欲しいものを選んでいました。コマーシャルを浴びせられて動くというよりも、自分でファクトを見つけて選ぶという消費行動の時代が必ず来ると確信していたとも言えます。
当時、欧米ではPRエージェンシーが既に産業になっていましたが、日本ではマーケティングPRという概念もエージェンシーも存在しませんでした。米国のマーケティング手法は数年後に必ず日本にやってくるというのが当時の肌感覚で、事業としてもブルーオーシャン。これは来ると確信して創業メンバーとしてジョインしたという経緯です。
現在ベクトルのPR事業部は年間3,000プロジェクト、1,000社を超えるお客様を抱えるまでに成長しました。クライアント企業が消費者から「選ばれる状態」をつくることを目指し、時代に沿った情報発信を戦略設計から実行まで一気通貫で行っています。
マス露出から動線設計、パーソナライズへ。20年で変化したPR
──この20年で、PRの手法や役割はどのように変化・進化してきたとお考えですか。印象的なターニングポイントとともに教えてください。
大きく3つのフェーズがあったと思っています。20年以上前はテレビ・新聞・雑誌へのマスメディア露出がメインでした。インターネットメディアがメディアとして確立して以降は「ネットで取り上げてもらってからテレビで」「テレビの後にネットで」という動線設計の発想が生まれました。その後、PR費を用意してマーケティングを行う流れが定着し、お客様から「メディアに出たら売れた」という声が確実に返ってくるようになったのがちょうど20年前くらいです。
次のフェーズが、15年ほど前にSNSが主軸に入ってきたタイミングです。「SNSで話題を着火させてから、メディアで特集してもらう」というように、動線設計がより複雑になりました。これまで以上に、ブランドの課題ごとにパーソナライズした戦略が必要になったのもこの頃です。
