「Web担当者Forum」での記事「PVやSEOがすべてではない」AI時代に読者の“行動”を変える良いコンテンツの作り方【MarkeZine×Web担 20周年対談】はこちら!
創刊から20年、本質的なマーケティングが浸透
安成(MarkeZine):実は「MarkeZine」と「Web担当者Forum(以下、Web担)」は、2006年創刊の“同い年”なんですね。20年を経て、どちらの媒体も、創刊当時メインだったテーマから、扱う領域も読者層もずいぶん広がってきたと思います。Web担さんは、この20年をどう振り返りますか。
四谷(Web担当者Forum):20周年ということで、改めて年表を見返していたんです。媒体って生き物みたいなもので、外的要因に左右されながら成長していくじゃないですか。2006年にX(旧Twitter)ができて、2007年に初代iPhoneの発表。2011年の震災でSNSに注目が集まって、2010年代にはYouTubeやInstagramなどのサービスが台頭しました。それに伴い、運用型広告の存在感が増し、コロナ禍でオンライン会議が一般化しました。
そうやってデジタルが人の生活に深く、密接に関わってきた。それがマーケティングの手法にも如実に表れるから、どのジャンルまでウォッチし続けるべきか、ずっと悩みながら進化してきた感じです。
Web担はもともと「企業がカタログだけでなく、公式サイトをどう運営するか」を起点に始まったのですが、そこから集客、コミュニケーションの場……と、同じツールでも周りの状況が変わることで役割が変わってきましたね。
安成:MarkeZineで一番最初に出た記事は、「Webマーケティング2.0」がテーマでした。当時はまだ“Webマーケティング”という言葉自体も新しくて、本当にニッチなメディアとして始まったんだなと。
かつては「デジタルマーケティング=出島」のように、ある意味で治外法権の領域のようにも言われていました。それがこの20年で、気づけばデジタルがベースにあって、その上で様々なマーケティング活動を展開していくことが主流になってきましたね。
四谷:私が2013年にインプレスへ転職するとき、前職で「マーケティング系のメディアに行く」と言ったら、「マーケティングって何? リサーチのこと?」と返されたのを今でも覚えています。当時、マーケティングという言葉への解像度が低いことを実感した体験です。
安成:日本のマーケティングは広告文脈で語られてきたことが多くて、そこは一つの課題だったのですが、その偏った解釈も徐々に是正され、本質的なマーケティングが日本でも広がってきた実感があります。
大学卒業後、物流企業で営業兼Web担当者を経験。コーポレートサイトのリニューアルやデジタル広告の運用、倉庫の営業に携わる。2013年にインプレスに入社し、Web担当者Forumの編集者となり2018年から現職。歴史とサッカーと運動が好き。
「How」偏重から「Who/What」の時代へ
四谷:Web担では長年、「企業Web担当者初級講座」という教育講座を開催して、その中でニューバランス ジャパンの鈴木健さんを講師に迎えて、マーケティングブリーフを作るセッションがあります。たとえば「子ども向けのこういう靴をどう売るか、あなたたちが担当者ならどうプランを立てるか」というお題に向き合うイメージです。
数年前までは、「誰が買うのか」「ターゲットは誰か」で会話が終わってしまって、その先のキャンペーンやプランまで話が進まなかったり、途中で逸れたりして、アウトプットまでたどり着かないことも多々ありました。それがここ数年では、受講するのはマーケティング初心者の方が中心であることは同じですが、しっかりしたマーケティングプランの創出までできるようになっています。
安成:マーケティング担当者として何が求められ、何をしなければいけないのか。その解像度が上がってきたということでしょうか。
四谷:そう思います。昔はゼロイチで部署を作った人が「何をすればいいんだろう」と、“ハウ”の部分がメインでした。私はよく“武器”と言ってしまうんですが、本来はどの武器(ツール)を組み合わせて、自分たちがどうしたいかを考えるのが仕事じゃないですか。今は「この製品にはこんな良さがある、買う人はこういう人、だとするとこういう届け方がある」と、ちゃんとツールを組み合わせられている。経年で見ると、解像度がまるで違うんです。
安成:基本のベースが高くなっている、と。
四谷:そうなんです。だからこそ、体験とか、コミュニケーションといった差別化のポイントが本当に重要になってきている。ツール一つで右往左往しない、本質を掴む力が上がってきているなと、講座の受講者の方々を見ていて感じます。
安成:マーケターになりたい人が増えている実感もあります。編集部で「MarkeZineを読むのはどんな人か」について会話したとき、現役のマーケターに加えて、“なりたい人”も読んでくれているのかなと。マーケター出身の経営者やマーケティング実務者のスターも増え、専門的な業務から憧れの仕事になってきているようにも感じています。
