AI時代、マーケターにも編集力が求められる
安成:読者の解像度を高めるために、Web担さんではどんなことをされていますか。
四谷:読者が集まる会合には必ず顔を出して、生の声を集めていますね。あとは定期的な座談会・交流会で、「今、何がホットか」を読者の皆さんに集まってもらって聞くといったかたちで、情報収集しています。
安成:編集部で何かを企画した時に、集まってくれる読者や識者の方がいるというのは、媒体の一つの強みですよね。
生成AIの浸透により、アウトプットは誰でも作れる時代になっています。生成AIで広告クリエイティブもLPも、テキストコンテンツもバーッと作れてしまう。だからこそ、マーケターにも編集力がより求められると感じています。AIのアウトプットから、何をそぎ落とし、どうチューニングするか。ブランドとして大切にしている思いや哲学に基づいて、どう編集していくかが、差別化という点でもより大事になってくる。
四谷:みんなが編集長になる、ということだと思います。AIは70〜80点のコンテンツを作ってくれますが、ブラッシュアップしないと最終的なアウトプットにはなりません。70点を100点に引き上げるための知恵や工夫はAIでは補えない。「この人に届けるためにこういう内容を入れるべきだ」というのは、人間にしかできないところです。
安成:AI時代に、マーケターや編集者にはどんな役割が残ると思いますか。
四谷:現時点でのAIの使い方は、価値を出すというよりも、“効率化”の文脈が、なんだかんだ多いですよね。そもそも企画を立てるのは人ですし、最後のブラッシュアップも人。最初の課題提起と、最終的に責任をとること。AIはその間をやってくれる、という感じになっていくのかなと。
安成:アウトプットのスキルでは差がつかなくなるから、誰に取材できるか、取材の現場で深く問いかけて言葉を引き出せるか、人との繋がりがより大事になります。創刊当時のMarkeZineは、媒体名をよんでもらえなかったり、取材を断られることもたくさんありました。ですが、創刊から20年、マーケティング専門メディアとしてのブランドとしての信頼を積み重ねてきたことで、今では現場から経営まで、様々な企業の方々に取材させていただけるようになりました。取材先との関係づくりは人にしかできないので、変わらず積み重ねていきたいと思っています。
四谷:どこまで行っても「人」ですよね。差別化できるのは、結局そこしかない。

人が集まり、変化が生まれる場を作り続ける
安成:次の10年を見据えて、Web担さんからメッセージはありますか。
四谷:実は一時期、「Web担当者Forum」という媒体名を変えようかと、考えたこともあったんです。でも、変えずにいてよかったと今では思っています。フォーラムは人が集まる場所という意味だから、AIがどんなに進化しても、インターネットがどう変わっても、人と人とが安心してコミュニケーションを取れる場所は重要だと思う。それは10年経っても100年経っても、変わらずに提供できていたらいいなと。
安成:人が集まる場所を作り続けること、そこは私たちMarkeZineも変わらないですね。Web担さんの記事でも話しましたが、人に変化をもたらすコンテンツやきっかけを作れたか。それは引き続きメディアが担う役割だと思うので、そんな機会や体験を生み出し続けられる媒体でありたいです。マーケターに編集力、編集者にマーケ思考を。その境界が溶け合うほど、面白い仕事ができる時代が来ています。Web担さんや読者のみなさまと一緒に、次の10年を一緒に走り続けていきたいです。
