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MarkeZine Day 2026 Autumn

リサーチから読み解く、AIと生活者の「共生」のいま

生成AIを使わない67%の人たちの実態とは?3万人調査から浮かび上がる「4つの壁」とインサイト

 QOが実施した全国3万人への大規模調査から、生活者と生成AIとの関係性を可視化する本連載。第1回では、生成AI現利用者(33%)の中に存在する6つの生活者タイプを紹介しました。第2回で焦点を当てるのは、その裏側にいる約3分の2のマジョリティ──非利用者です。調査からは、この層の前に立ちはだかる「4つの壁」の構造が見えてきました。定量調査の結果に加えて、未利用者・離脱者に対して実施したAIインタビュー定性調査の結果も交えながら、壁ごとに異なる生活者の実像と、非利用者を動かすためのアプローチを読み解きます。

※本記事内で指すAIサービスとは、対話型AIプラットフォームや画像・動画生成AIなどアカウント登録型のサービスを指しており、検索エンジンのAIモードや音声AIアシスタントなどのサービスは除外しています。

生成AIの非利用者67%は、「4つの壁」に分かれる

 本連載の第1回で紹介したとおり、全国3万人への大規模調査によれば日本全体の生成AIの利用率は33%だった。裏返せば67%──約3分の2の生活者は今、生成AIを使っていない。内訳は、これまで一度も使ったことがない未利用者が63%、一度使ってやめた離脱者が4%である。

 マーケティングの現場ではAI活用を前提とした議論が急速に増えているが、生活者側のマジョリティはその外にいる。離脱者を含めたこの67%を「感度が低い人たち」と一括りにすると、その実像を見誤ってしまう。

 では、彼らはどこで立ち止まっているのか。未利用者に「生成AIに対する気持ち・状態」を聞くと、「興味・関心がない」が35%、「興味はあるが、どのようなサービスかよく理解できていない」が33%、「イメージはできるが、実際に使うまでに至っていない」が32%と、ほぼ均等な3層に分かれた。

 この3層に、一度使ってやめた離脱者を加えると、生成AIを現在利用していない67%の前には「関心壁」「理解壁」「体験壁」「定着壁」という4つの壁が存在していることになる。

【図表1】生成AI利用の全体構造──「4つの壁」モデルと各層のボリューム(クリックして拡大)

 ここで注目したいのは「突出したボトルネックが存在しないこと」だ。全体に換算すると、無関心層(22%)・未理解層(21%)・未体験層(20%)と、3つの壁はほぼ同じ厚さで並ぶ。未利用者の中にもグラデーションが存在することから、単一の価値訴求やプロモーションで全員を動かすことは難しく、層ごとに異なるアプローチが求められる。

 なお、この4つの壁は、すべての生活者が順番に通過する直線的なファネルではない。現時点で利用を妨げている主な要因を、関心・理解・体験・定着という観点から整理した分類である。

「使わない」は怠慢ではない?非利用を支える“合理性”

 4つの壁の中身に入る前に押さえたいのは、未利用者の「使わない」は怠慢や技術忌避ではないことだ。利用しない理由は、「自身の生活や仕事で、使う場面(必要性)がない」が32%と最も多く、「インターネット検索等従来の方法で十分」が30%と続く。

 今回は定量調査と並行して、AIがモデレーターとなり対象者に深掘りするデプスインタビュー「AIインタビュー」を、未利用者・離脱者72名に実施している。そこでも、検索や辞書など既存の手段で足りており「今の生活や仕事で困っていない」という声が大半を占めた。

 生成AIに対しては「便利そう・役に立ちそう」というポジティブな印象を持つ人が多い一方で、「回答の正確性が信用できない」という不安も根強く、期待と不安が同居している。しかもその印象の出どころの大半は、テレビやニュース、家族や知人の話といった「伝聞」だ。自分で触れた実感に基づいて距離を取っている人は少なく、体験の不在が漠然とした距離感を生み出している。

次のページ
「4つの壁」の正体——層ごとの「使わない理由」と転換余地

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この記事の著者

渡部 彰博(ワタナベ アキヒロ)

QO株式会社 取締役常務執行役員 リサーチデリバリー本部長/AIIIプロジェクト推進室長

セールスプロモーション業界を経て、2008年にQO株式会社(旧東京サーベイ・リサーチ)へ参画。リサーチコンサルティングや独自のソリューション開発において多数の実績を残す。2016年からはマネジメントとしてデータドリ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/09/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77063

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