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イベントレポート

「情報収集の段階で、勝負はもう始まっている」高橋浩一×今井晶也が語る法人営業の勝ちパターン

 2026年8月4日、翔泳社主催のオンラインイベントに、営業書のベストセラー著者2人が登壇した。『無敗営業』『営業の科学』で知られるTORiX 代表取締役の高橋浩一氏と、『Sales is』シリーズの著者でセレブリックス取締役 執行役員 CMOの今井晶也氏だ。テーマは「失注した! そのときお客様側で何が起きていたのか?」。高橋氏の新刊『法人営業 勝ちパターン大全』(8月7日発売)の刊行を記念した対談は、両氏いわく「事前準備なし」のぶっつけ本番。それでも──いや、だからこそ──データで裏づけられた購買プロセスの話から、20代の頃の泥臭い顧客理解の実践、AI時代の属人性の話まで、60分がまるごと実践知で埋まった。抜粋してお届けする。

買う経験がないまま、営業は提案している

今井(セレブリックス):まずは新刊に触れないわけにはいきません。『法人営業 勝ちパターン大全』は、どのような書籍なのですか。

高橋(TORiX):ざっくり言うと、購買側視点で書いた営業の本です。法人営業をしている人は、企業の中で「買う」経験をすることがほとんどありません。そのため、お客様の社内で何が起こっているのかわからないまま、提案することになります。

『法人営業 勝ちパターン大全』
法人営業 勝ちパターン大全』(高橋浩一/翔泳社)

高橋:本書では購買に関わる関係者を6種類に分けました。決裁者や担当者だけでなく、現場で実際に使うユーザー、予算を獲得する人まで含めて整理しています。そのうえで、「課題認識」「情報収集」「要件定義」「比較検討」「発注決定」という区切りで、購買プロセスを買い手側から見ていきましょうという試みをしています。

図2-14
6種類の関係者とその判断基準『法人営業 勝ちパターン大全』より抜粋
図2-1
5段階の購買プロセス 『法人営業 勝ちパターン大全』より抜粋

今井:AIで営業が変わると言われる今、あえて購買側から解き明かしたのはなぜでしょう。

高橋:お客様の購買行動を体系化したいと、ずっと前から思っていたんです。これまでも売り手と買い手のさまざまなデータを調査してきましたが、徹底的にお客様側に立ったらどう見えるのか。2万1,308人の調査データにくわえ、2,676人の購買経験者への追加調査も行ったところ、薄々感じていたことが数字で証明されました。

「情報収集の段階」で勝負は決まっている?

高橋:まず、お客様の社内で情報収集が始まる前のプロセスである「課題認識」のタイミング。実はその段階から、6種類の関係者それぞれが一定以上の関与をしているんです。

図2-1
課題認識のタイミングで携わっている人は? 『法人営業 勝ちパターン大全』より抜粋

今井:それ、営業からは見えないプロセスですよね。

高橋:そうなんです。商談で「今日は情報収集だけなので」「まだ予算も取っていないので」と言われると、営業は「まだホットじゃないのか」とテンションが落ちたりする。今井さんは、まだ何も決まっていない段階こそ燃えるタイプでしょうけど(笑)。

 実はデータで検証すると、そういう人のほうが有利なんです。「発注先を選ぶうえで実質的な影響力が最も大きいのはどの段階か」を購買側に聞くと、「課題認識」「情報収集」「要件定義」という上流3段階の合計が66.8%。つまり3分の2以上の案件が、提案を出す前の段階で実質的に決着しているんです。早い段階で関与できていない営業は、すでに輪郭ができあがった案件に後から乗ることになります。

図2-2
66.8%の案件が要件定義までに決着している 『法人営業 勝ちパターン大全』より抜粋

今井:燃えますね(笑)。まさに、予算もテーマも決まり切った商談は、あとは条件勝負・商品力勝負になりがちじゃないですか。むしろ要件を決められる側に回ることができれば、提案自体を大きくできるし「選ばれる理由」もつくりやすい。

高橋:お客様から「情報収集なので」と言われると、商談では製品の特徴だけ話し、「本格的なタイミングが来たら見積もりの話も」という営業も多いと思います。しかし、調査から見えてきたのは、情報収集と言われたときでもきちんと金額の話をすることの必要性です。そういった営業側からは見えづらい面白いデータを多数扱っているので、ぜひ本書を読んでみていただきたいですね。

今井:わかる気がします。私は購買側になることも多いのですが、「金額は大体どれくらいですか」と聞いて「状況によって違うので」と返されると、正直センスがないなと感じます。

 なぜなら、教えてもらえないと勝手に「200万円くらいで足りるかな」と予算のイメージを固めたうえで企業選定に入ってしまうから。しかもその金額感で選定を始めてしまうと、本当は1,000万円規模の提案をしたい会社は、そもそも候補に入れません。「お客様が実現したいものなら、1,000万円くらい見る必要があります」と正直に伝えてもらったほうが、その前提で予算どりも検討できます。

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顧客理解はどこまで「徹底できるか」が勝負

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この記事の著者

宮田華江(編集部)(ミヤタハナエ)

立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZine編集長就任。ビジネスメディアの統合を担い、2026年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/02 08:30 https://markezine.jp/article/detail/77343

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