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「課題解決型営業」はなぜ定着しないのか?AI時代における課題解決と“文化”の醸成

事例から考える「課題解決型営業」の定着化メソッド

 多くの営業組織が「課題解決型営業」へのアップデートに取り組んでいます。しかし、様々な研修メソッドやシステムが存在する現在も、苦戦している企業は少なくありません。本連載では、課題解決型営業を自社の営業組織で実現・定着させるメソッドを2回にわたって解説。第1回では、課題解決型営業を阻む壁と定着に欠かせないポイントを、具体事例を交えて解説します。

「課題解決型営業が定着しない」A社の事例

 金融A社の法人営業組織で営業企画を統括する部長は困り果てていました。

 「課題解決型営業の育成と実現を目指して過去2年ほど研修を実施したが、一向にモノ売り営業から抜け出せない」という相談をいただき、すぐに数名の営業にインタビューを実施しました。

<インタビューへの回答>

  • 顧客の課題を考え解決策を実行するという理屈は理解するが、なかなか時間もスキルも足りず実行できない
  • 商材のカタログを紹介するほうが、正直に言って楽だ
  • 課題解決提案が自分のKPIに直結する気がしない

 インタビュー結果を受けて、A社に対して筆者は次のような提言を実施しました。

 「営業にとって課題解決型営業は“やらされ仕事”でしかないのが現状であり、中途半端な提案をしている結果、成功体験を醸成できていません。また、マネジメント層も取り組みの意義や方法を十分に理解できていないため、営業のサポートを十分に実施できていません」

 その後、A社においては、単に理論や理屈を教え込む形の研修を実施するだけでなく、実践型のロールプレイングやマインドセット変革含む体験型の研修を加えました。営業組織が目指すべき方向性や提供すべき価値をビジュアル化し、“羅針盤”として提示しました。

 また、選抜された営業一人ひとりにコンサルタントが寄り添って課題解決型提案の作成・実施を支援する「OJT型1on1メンタリング」を実施しました。さらに、マネジメント向けの説明会や課題解決提案におけるマネジメントチェックリストなども作成し、本質的な課題の解決を図りました。

 結果として、課題解決型提案に成功する営業や顧客から「こんな提案ができるんですね」と言われて喜ぶ営業が少しずつ増えていき、課題解決型提案が根づき始めています。A社では課題解決型提案・受注数ともに前年の3倍程度まで増加し、大型案件の比率も前年比で25%程度上昇するという結果が出ました。

「課題解決型営業」が定着しない3つの理由

 多くの営業組織が、A社のような状態で困っているのではないでしょうか。

 A社のような状況に陥る本質的な原因としては、「組織の文化」「マネジメント」「営業のスキル」の3つが挙げられます。

 まず、組織の文化が、最も重大な変革ポイントである場合が多いです。課題解決なんて労力がかかるからやりたくない、従来どおりのモノ売りのほうが楽だ、自身のKPIに結びつかないといった意識が蔓延し、課題解決型営業の実現を阻んでいるのです。このような文化を改変していくためには、成功・成長体験の醸成に加えて営業・マネジメントサイド双方の意識変革が必要となります。

 次に、マネジメントは、上記の組織の文化に大きく影響します。営業をサポートし背中を押すようなレビュー・アドバイスを実施できるスキルやマインドが不可欠です。また、課題解決型営業を促進するためのKPIの整備、サポート体制(組織やツール)も必要となります。しかし、マネジメントが整っていない状況で、現場に対して「課題解決提案をせよ」という指示を出している企業が非常に多いのが現状です。

 営業のスキルは、単なる座学型の研修だけでは養成できません。理論を実践する仮想的な場(=ロールプレイング)を用意することはもちろん、実顧客に対する“実戦”を通じてPDCAを回転させる必要があります。また、企業が経営・事業レベルで抱える課題の分析方法を知ることも重要です。しかし、多くの企業において、課題解決の方法だけを研修しているのが実態です。

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「課題解決型営業」の定着に向けた具体的な取り組み方針

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この記事の著者

株式会社博報堂 奥山 友貴(オクヤマ トモキ)

株式会社博報堂 コマースビジネスデザイン事業ユニット エグゼクティブビジネスコンサルタント。シンクタンク系コンサルティングファーム、外資系コンサルティングファームを経て、2025年より現職。事業戦略策定、セールス改革のコンサルティングを専門領域として、小売、メーカー、不動産、金融、IT通信など幅広い業界に対するコン...

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/24 07:00 https://markezine.jp/article/detail/77192

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