「RevOps」(レベニューオペレーション)は、営業・マーケティング・CSといった部門間の壁を壊し、データとプロセスで組織を統合する、欧米発のビジネス戦略である。日本でも注目のキーワードとなっているが、実際の導入にあたってはデータ連携やルール設計などさまざまなハードルがある。2026年1月27日に開催された「SalesZine Day 2026 Winter」の基調講演では、こうしたRevOpsの導入課題を乗り越え、実践を進める旭化成とキャディの取り組みを、『RevOpsの教科書』(MarkeZine BOOKS)著者の川上氏が深掘り。企業規模もフェーズも異なる2社の事例から、導入の壁を乗り越えるヒントを探った。※登壇者の所属・役職は、イベント開催時(2026年1月27日)のものです。
RevOpsとは:戦略と現場の分断を解消する処方箋
川上(エンハンプ) 前提を共有するため、まずはRevOpsについてお話しします。
エンハンプ株式会社 代表取締役 兼 ゼロワングロース株式会社 取締役CRO 川上エリカ氏
外資系IT企業でエンタープライズセールス、セールスイネーブルメント、営業・インサイドセールス・マーケティング責任者を歴任。エンハンプ代表取締役、ゼロワングロース取締役CROとしてGTM戦略策定およびRevOpsモデル設計を支援。日本におけるRevOps実践の第一人者。2026年2月、Xactly株式会社 日本GTM統括責任者(Head of GTM, Japan)に就任。著書に『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書』(MarkeZine BOOKS)。
マーケティングと営業は対立しがちな関係です。マーケティング側は「リードを獲得したのだから受注してほしい」、営業側は「質の高いリードがないと受注できない」と、それぞれの立場から主張をする。こうした対立構造は、業種・業界問わず、多くのレベニュー組織が直面している課題です。
本来あるべき姿は、まず「どの市場に、どんな価値を、どのタイミングで提供するか」という基本方針、すなわちGTM(Go-to-Market)戦略が定義されていること。そして、その戦略を実現するためのレベニュープロセスがあり、さらにそれを測定・分析するモデルや統括するガバナンスがあることです。この体制が整って初めて、具体的な施策が実行されるべきです。

しかし実際には、この一連の流れを定義せず、各部門がバラバラに個別最適の施策を実行しているケースが少なくありません。戦略という名の「設計図」がないまま、パッチを当てるような施策を繰り返しても、現場は疲弊するだけです。
プロジェクトが乱立し、目的も不明確なままデータの入力だけを求められる状況──これが近年「DX疲れ」と呼ばれるものの正体ではないでしょうか。
こうした課題に対する処方箋として注目されてるのが「RevOps」です。

顧客に対して正しい価値を正しいタイミングで提供するためのGTM戦略を、着実に実行へ移すためには、適切なオペレーションモデルが欠かせません。
RevOpsは、まさにこの戦略と現場を統合し、シームレスにつなぎ合わせるための仕組みです。特定可能で、実行可能、そして再現可能な仕組みを構築すること。それによって組織の分断を打ち破り、持続的な収益成長を目指すアプローチに、多くの企業の関心が集まっています。
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岡田 果子(オカダ カコ)
IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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