SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

AI時代のエンタープライズ営業を加速させる新方程式

エンプラ開拓を変える顧問連携。「依頼」から「相談」へ、約1,000名の顧問と向き合った実践から語る

 高度な戦略と実行力が求められるエンタープライズ開拓。本連載では、ナレッジワーク社が自社実践の中で見出したエンタープライズ開拓の新たな方程式を「組織戦略」と「現場実行」の2つの軸で解説しています。第4回となる今回は「現場実行」の視点から、大手企業の開拓を加速させる「顧問施策」に迫ります。3年間で1,000名近い顧問様と向き合い、「アポイントの数を追うほど成果から遠ざかる」という壁も経験した同社の村瀬氏に、顧問の知見と信頼を借りながら大手開拓を推進する実践的なアプローチを聞きました。

豊かな知見、確かな信頼を活かして伴走してもらう

──「顧問施策」とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。

 当社が言う「顧問様施策」とは、大手企業で役員や部長を務められ、退任された方々に、エンタープライズ開拓を伴走していただく取り組みです。経営全般に助言をいただく一般的な経営顧問とは異なり、「この企業のこの部門にどう入り、どうすれば意思決定が前に進むのか」を一緒に設計し、実際の営業活動を支援していただく、いわば「営業顧問」です。

 顧問会社を介して業務委託という形でご参画いただくほか、自社で直接アプローチして契約を結ぶ「内製顧問」という形もとっています。当社ではこの3年間で、1,000名近い顧問様とお会いし、多い時期は80名ほどと同時に協働してきました。位置づけとしては、大手企業の経営層とのリレーションを築く「エグゼクティブリレーション」という取り組みの中核をなす施策です。

──なぜ、数ある手段の中で顧問施策に取り組んだのでしょうか。

 目指していたのが、積み上げではない非線形な成長だったからです。そのため、各業界を代表する大手企業の皆様とのお取り組みを大切にしています。業界をリードする企業様にご活用いただくことで、その取り組みが業界全体へと広がっていくからです。

 ところが、この層は容易に扉が開きません。問い合わせが生まれる企業ではありませんし、通常のアプローチでは部門長以上の方にはなかなか届かない。さまざまな手段を重ねてもなお届かない領域があり、そこで行き着いたのが顧問様とのお取り組みでした。

 顧問様施策の相性ははっきりしています。ターゲットが大手企業で、単価が高く、成果までのリードタイムを許容できる事業であれば効きます。一方で、短いサイクルで成果を求められる事業には、あまり向かないと思います。

──リファラルやパートナーセールス、営業代行とはどのような点で異なるのでしょうか。

 一番の違いは、お借りしているものが企業の看板ではなく「個人としての知見と信頼」である点です。

 パートナーセールスは企業間の契約ですし、リファラルは既存のお客様やお知り合いからのご紹介、営業代行は業務そのものを外部へ取り出す仕組みです。いずれも、仕組みが機能すれば担当者が代わっても再現できます。

 一方で顧問様施策は、その方が何十年もかけて築いてこられた信頼と、意思決定の内側を知る知見そのものをお借りします。再現性が仕組みではなく関係性に宿るのです。裏を返せば、扱い方を誤れば一瞬で壊れてしまう。関係の設計がそのまま成果を左右する、高度な取り組みです。

「依頼」はNG。顧問を当事者に変えるアプローチ

──多くの企業が顧問施策に注目する一方で、期待した成果が出ずに悩むケースも多いそうですね。これはどのような要因があるのでしょうか。

 顧問様施策を「アポイントを獲得するためのチャネル」として捉えてしまうことが、最大の原因ではないかと思っています。

 当社も、取り組みを始めた当初は同じ捉え方をしていました。BDR立ち上げの一環として始めたこともあり、アポ数をKPIに設定したのです。KPIが「数」になると、コミュニケーションは自然と「あるか、ないか」の確認になります。ターゲットリストをお渡しして「ご紹介いただける企業はありますか」と尋ねるだけの会話です。

 当初は順調に見えていました。しかし数ヵ月が経つと、商談化率は目に見えて落ち込み、そこから先へ進む案件がほとんど生まれなくなっていったのです。アポイントの数は積み上がるのに、受注にはつながらない。数を追うほど、かえって成果から遠ざかっていました。

──そうした失敗から、アプローチを変えた転機は何だったのでしょうか。

 ある顧問様から、ぽつりと「もっと、一緒にやればいいのにな」と言われたことがきっかけです。我々は一緒に取り組んでいるつもりでした。しかし、その方を「当事者」としてお迎えする席を、一度も用意できていなかったのです。

 「依頼」というスタンスは、相手を「実行者」の位置に置いてしまいます。一方で「相談」は、相手を「当事者」の位置にお迎えするアプローチです。3年間の学びをまとめるなら、人は頼まれたことはやりますが、一緒に決めたことしかやり切りません。営業のプロである顧問の皆様は、そのスタンスの違いを一瞬で見抜かれたのです。

クリックすると拡大します

次のページ
「当事者であり第三者」だから引き出せるもの

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
AI時代のエンタープライズ営業を加速させる新方程式連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高橋 愛里(編集部)(タカハシ アイリ)

新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。SalesZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/10/07 07:00 https://markezine.jp/article/detail/77599

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング