SMB(Small and Medium Business)やMM(Mid Market)で成果を上げてきた営業手法が、エンタープライズ市場では通用しない。こうした「エンタープライズセールスの壁」を、どう乗り越えればよいのでしょうか。ディグルでエンタープライズセールスを率いる松本翔吾氏がエンタープライズセールスの「型」と、商談経験を組織の学びに変えるチーム運営について解説。約1年間の苦戦を経てエンタープライズ領域のMRR(月次経常収益)を6倍に伸ばした「商談の設計」と「集団学習の仕組み」について、具体的に解説します。
売れない1年を乗り越えたディグルのエンタープライズセールスについて、松本氏のキャリアも含めてインタビューした記事はこちら。
エンプラ開拓で直面した「機能ベースの提案」の限界
以前のインタビューでお話ししたとおり、エンタープライズ市場の開拓を始めて1年超。当時の私たちは、ほとんど受注できていませんでした。
それでも、競合が売れている以上、自分たちだけが売れない論理的な理由はありません。エンタープライズセールスの定石を取り入れ、MEDDICで案件の状況を評価し、アカウントプランで顧客情報や関係者を整理していきました。
しかし、今振り返ると、「案件をどう管理するか」ということ以前に、「複数のステークホルダーとどう合意形成をするか」こそが課題だったのだと思います。
当時は、お客様の要件に合わせてデモをカスタマイズし、「これを使えば今の業務がこう変わります」と伝える、機能ベースの提案が中心でした。この売り方は、SMBやMMではうまくいっていました。経営企画部長自身が実務も担うケースが多く、機能が自分の課題に刺されば、その価値を理解して稟議を通すストーリーまで自ら組み立ててくれたからです。
一方、エンタープライズでは事情が違います。経営企画部門の人数も多く、部長はマネジメントが中心で、日々の実務にはほとんど携わっていないことも珍しくありません。経営層となれば、実務との距離はさらに遠くなります。結局、私たちが具体的な機能と効果の説明をしても、会話を深められるのは現場担当者のみ。商談に同席している部長や経営層には、納得感のある提案ができていませんでした。
「エンタープライズセールスでは、ステークホルダーが複数いて、立場によって関心が違う」。そのこと自体は以前から「認識」していましたが、提案の中では「意識」できていなかったのだと思います。
そんなとき、ある上場企業との商談が転機になりました。ヒアリングを重ねる中で、その企業が実現したい状態と、「Diggle」が掲げるプロダクトビジョンが重なっていることに気づいたのです。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
ディグル株式会社 エンタープライズ事業部 部長 松本 翔吾(マツモト ショウゴ)
2017年、大手銀行に入行。都内の支店でスタートアップから中堅企業まで幅広い業種の法人営業を担当した後、本店営業部で売上高1兆円以上の通信系大企業に対する事業提案や財務提案に従事。2022年1月、ディグル株式会社に参画。年間200社を超える中堅・大企業へ予実管理を軸とした経営基盤構築を提案。エンタープライズ領域の...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
