属人的な勝ち筋の再現性を高め、組織全体へ展開する「共通基盤」の設計を解説した第2回はこちら!
迷わず一歩を踏み出すために。全体から場面へのブレイクダウン
──第2回では、カルテ、レビュー、ハンドブックといった共通基盤についてうかがいました。これらを設計した上で、セールスイネーブルメント(以下、イネーブルメント)や営業企画はどのような役割として現場の実装に関わってくるのでしょうか。
並木 前回ご紹介したカルテやハンドブックは、いわば営業活動の全体像を示す「地図」です。しかし、地図を渡されただけで「さあ、ゴールへ向かって正しいルートを進んでください」と言われても、すぐに動き出せるメンバーばかりではありません。全体像は理解できても、「この場合はどう考え、どう動けば良いのか」と場面場面で判断に迷ってしまう。そこでナレッジワークでは、イネーブルメントが介在し、より具体的で実践的な項目にドリルダウンしてフォーマットを作っています。
たとえば、「アカウントプランを作りましょう」という概念や重要性は理解していても、真っ白な紙を前にすると手が止まってしまいます。しかし「このフォーマットの、この項目を埋めましょう」と提示されれば、次に顧客へ確認すべき内容やとるべき行動が明確になりますよね。
顧客へのヒアリングや提案書の作成も同様です。営業フェーズを前に進めるために、場面ごとのアクションや指標を具体化し、現場に提供できるかどうか。ここがイネーブルメントや企画部門の腕の見せどころになります。
村瀬 現場目線から見ても、迷わず動ける状態が用意されていることは本当に大きいですね。何を確認すべきか、どの観点で顧客を捉えるべきかが整理されているだけで、若手とベテランの経験差があっても、意思決定のズレが最小限に抑えられます。
──エンタープライズ開拓では顧客企業ごとの組織体制や購買プロセスといった複雑な個別事情に左右されやすく、標準化と属人性のバランスが難しいように感じます。
並木 私たちは「要素」と「タイミング」の2つに分けて考えています。
押さえるべき「要素」は絶対にそろえるべきで、これがフォーマットの役割です。一方で、アプローチする「タイミング」はお客様の状況によって前後するため、無理に規定しすぎない。どちらも個別性が高すぎると、特に新しく組織に入った人は、何をして良いかわからなくなってしまいます。
ナレッジワークでは、新入メンバーが最低限押さえるべきレールとしてフォーマットの要素を規定しています。ただし、項目が多ければ良いわけではありません。「何がアカウントプランなのか」という定義は各社で異なりますが、自社が実際に運用し切れる適切なボリュームで要素を削ぎ落とし、現場の最適解を作り上げることが大切なのです。
