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AI時代の新職種「FDE」とは?求められるのは技術力よりも顧客業務の圧倒的な解像度

 従来のカスタマーサクセス(CS)の枠を超え、顧客の現場に深く入り込み、ビジネス課題を理解してAIで解決へ導くフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)型人材。なぜ今、この人材の価値が高まっているのでしょうか? SalesZineでは、FDE型CS人材の育成に取り組むVALANCEの今村健一郎氏を取材。FDE型人材の要件を整理した上で、育成の実践的なアプローチを語っていただきました。

学生時代から「×AI」の可能性に気付く

──まずは今村さんのご経歴を教えてください。

 キャリアの原点は、大学・大学院で向き合った「スポーツ×AI」の研究です。サッカー経験を活かしてチームワークの分析手法を追求するうち「チームワーク×IT」に関心を持ち、2011年にサイボウズへ入社しました。「kintone」のプリセールスエンジニアとして、顧客の業務要件に合わせて柔軟にソリューションを構築するおもしろさに目覚めたのはこの頃です。

VALANCE CS部長 今村健一郎氏
VALANCE CS部長 今村健一郎氏

 その後、より幅広い業務要件に対応できる提案力を身につけるため、セールスフォースへ転職しました。IT業界では、提案時の理想と納品後の実態に乖離が発生しがちで、DXプロジェクトが失敗するケースも少なくありません。納品後の価値実現まで伴走したいと考え、コンサルティングファームのデロイトへ移り、プロジェクトマネージャーを経験しました。

 代表の掲げるビジョンに共感して、2025年にVALANCEへ参画しました。現在はカスタマーサクセス(CS)部長として、提案から受注、そして納品後の立ち上げまでを包括的にリードしています。

──VALANCEの企業紹介もお願いできますか?

 当社では、有形商材を扱う中堅・中小企業を対象にビジネスを展開しています。有形商材の在庫や仕入れを統合管理する基幹システムの構築には、数億円の予算と数年単位の開発期間が必要です。そのため、一部の大手企業しか手を出せない状況でした。

 そのような背景から、ユーザーが証憑をアップロードするだけで、AIが企業専用のサプライチェーンマネジメント(SCM)基盤を自動構築するAIプラットフォームを提供しています。多大なコストをかけることなく、経営状態を瞬時に可視化し、適切な経営判断を下せる環境づくりを支援しているのです。

FDE型人材が可能にする短納期・高品質のデリバリー

──最近よく耳にする「フォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)」とは、どのような役割なのでしょうか。

 FDEは、米国のビッグデータ解析企業であるパランティアなどが提唱し始めた新しい職種です。本質的には「自社で提供できる強固なプラットフォームを持ち、そのプラットフォームの価値を最大化するために、AIを駆使して顧客の現場に入り込んで実装・デリバリーを進める役割」を指します。

 当社の提供するプラットフォーム×FDEのアプローチでは、お客様独自の複雑な業務や見たい数値に合わせて、オーダーメイドのようにオリジナルのシステムを高速で構築します。プラットフォームという土台を持ちながら、AI開発の手法を取り入れて、これまでとは比較にならない品質とスピードでお客様にカスタマイズERPを届ける。これがVALANCEにおけるFDEのあり方です。

──なぜ今FDE型人材に注目が集まっていると思いますか?

 AIがエンジニアリングを民主化したからではないでしょうか。当社に限って言えば、AIのポテンシャルがなければ1案件たりとも1人でやり切ることは不可能だと思います。ERP全体の要件定義、画面設計、データモデルの構築、そして実装と納品。これを個人で、しかも短期間で回すなど、従来のやり方では絶対に無理だからです。

 しかし、AIがあればそれが可能です。たとえば今日もちょうど、ある食品メーカー様に向けた初回提案の打ち合わせがありました。事前に在庫管理や受発注、顧客管理まで幅広い要望をもらっていたため、最初の提案に向かう時点で、お客様のホームページからコーポレートカラーの情報を抽出し、要件に合わせた個社向けのモックを構築してお見せしました。

 さらに、モック画面の右下にフィードバック用の入力欄をあらかじめ実装しておきました。お客様がその画面を実際に触り、パーツをクリックして要望を入力すれば、私たちは即座にその意図を理解し、次のミーティングでは要望を反映させた状態のシステムを見ながら会話できます。

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FDE型人材の本質は技術力にあらず

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/76991

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