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AI時代の新職種「FDE」とは?求められるのは技術力よりも顧客業務の圧倒的な解像度

アプリ×案件キットで2ヵ月後に即戦力化したインターン

──案件キットの具体的な活用方法を教えてください。

 まずは各自で、担当するお客様ごとの専用フォルダをセキュリティが担保された場所に作成してもらいます。そこに、実際の提案資料や商談の音声から起こした文字データ、見積書や注文書といった“ファクト”を格納するためです。その上で、AIに「このデータを案件キットに当てはめて」と指示を出してもらいます。

 するとAIは、フォルダに格納されたファクトから「このお客様は現在このような経営状況にあるから、経営層にはこのような切り口でアプローチするのが効果的です」といった示唆を出し、テンプレートにマッピングしてくれます。そのまま、個社ごとの提案資料やシステム設計書の作成、さらには初期モックとなるアプリケーション開発までをAI主導で進められるようになっています。

 この一連のプロセスにおいて、私たちCSMが最も重視すべきことは、顧客の「As-Is(現状)」と「To-Be(目指すべき姿)」の言語化です。AIは、インプットとアウトプットの両端さえクリアに示されていれば、それらをつなぐ最適なプロセスを瞬時に作成してくれます。この両端を徹底的にクリアにする部分こそ、人間の腕の見せどころです。

──どの程度の期間で新しいメンバーに実務を任せられるようになりますか?

 4月に入社したインターン生は、ビジネスの経験もITエンジニアリングの知見もまったくないまっさらな状態から、先輩CSMのレビューのもと、わずか2ヵ月で実案件を3件も担当しています。顧客からヒアリングした要件をベースに自分でシステムを構築し、現場担当者や経営層に対して自ら構築した経営ダッシュボードの提案・説明を行っているのはすごいことです。

人間もAIも「As-Is」「To-Be」の設定がマネジメントの肝

──FDE型人材を育成する取り組みによって、CSMの動き方や顧客との向き合い方は変わりましたか?

 劇的に変わったと思います。従来のシステム開発では、予算や工数が限られる中「どこまで何ができるか」を常に見極める必要がありました。お客様の要求はどこまでも広がりますが「今回はここまで実現しましょう」「ステップを分けましょう」と線引きをしなければ、プロジェクトはいとも簡単に崩壊し、炎上してしまいます。

 しかし、案件キットが介在する今は、早い段階で実現可能性や納期、完成までの工数などを正確に見通せるようになりました。プロジェクトの破綻を防ぐための交渉や線引きに労力を奪われなくなるため「このシステムを使ってお客様が真に成果を出すためには何が必要か」という、本質的でポジティブなディスカッションに時間を使えるようになったと感じます。

──最後に、CSの役割が問い直される今、育成やマネジメントに悩むCSリーダーに向けてメッセージをお願いします。

 まずは、自身の業務負荷をAIで軽減するチャレンジをしてみると良いと思います。フォルダを作って案件に関するデータを蓄えるのも良いですし、部下との1on1のデータを貯めて対話の精度を磨いてみるのも良いと思います。1個でも仕組みを作れば知識が身に付くはずです。

 AIという世界一優秀な部下をマネジメントする力は、人間の部下をマネジメントする力とまったく同じだと私は考えています。彼らの現状を深く理解し「いつまでにどうなりたいか」を設定する。このAs-IsとTo-Beの解像度が低ければ、人間であってもAIであってもとんちんかんな成果しか出せませんから。

──実践に裏打ちされた、具体的で熱量のあるお話をありがとうございました!

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/76991

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