キーノートでのサプライズ登壇を終えたばかりのディック氏が、個別取材の部屋に姿を現した。多忙の合間を縫っての取材対応に礼を述べると「お客さんと一緒に過ごすのが大好きだから、いつだって楽しいんだ」と笑顔を見せる。
30.6万社のサクセスを支えるロー&ハイタッチ戦略
──まさかあなたとボドナーさんがキーノートに登壇されるとは思いませんでした。
誰も予想していませんでしたよね。楽しくやろうと心がけました。雰囲気を良く保たなければなりませんから。他にもいくつかジョークを用意していたのですが、カットされてしまって(笑)。
──それでは早速インタビューを始めたいと思います。SalesZineの主な読者層は営業組織のリーダーですが、今日はカスタマーサクセスのトピックも含めてお話をうかがう予定です。
営業とカスタマーサクセスは、非常に密接に融合しつつあります。ですから読者の皆さまにとって、カスタマーサクセスについてさらに理解を深めることは、非常に大きな意味があるでしょう。
──御社は数多くの顧客を抱えています。1社1社にきめ細やかな対応をすることは現実的に難しいはずです。そこで、AIを活用した「ロータッチ」と人間による「ハイタッチ」の境界線をどのように引いて、カスタマーサクセスを促進しているのでしょうか。
当社では30万6,000社の顧客を抱えています。そのため、カスタマーサクセスチームの人員を増やすだけでは、顧客の成功を支援することが非常に難しいです。
そこで、私たちは戦略をいくつかの異なるカテゴリーに明確に分けています。第一に、どの顧客がいつ支援を必要としているかを的確に把握することに注力しています。また、顧客がHubSpotを通じて成果を上げているかどうかを確実に把握できるよう、データ戦略を大幅に強化しました。もし成果が上がっていない場合は、その顧客に対して支援を提供するように努めています。その支援は、AIのサポートを受けた人間によるものになる場合もあれば、単にAIのみによるものになる場合もあります。
先ほどのキーノートで「Breezeアシスタント」のリニューアルが発表されました。私たちがこれほど期待を寄せている理由の1つは、顧客が当社にどれだけの金額を支払ってくれているか、あるいは当社の担当者が対応できるかどうかに関わらず、すべての顧客を支援できるようになるからです。
「ヘルススコア=利用状況」ではない
──成果を追求したいと考えている顧客についてお話をされましたが、彼らが求めている成果や必要なサポートを、どのように把握しているのでしょうか。
見ている指標は3つあります。第一に需要の創出、第二に契約の獲得、そして第三に顧客満足度の向上です。我々の顧客がこの3つのアウトカムのうちのどれか、もしくは全部をしっかりと達成しているかどうか。これを見ています。
顧客のヘルススコアの評価基準を、単なる利用状況の確認から「需要を創出できているか」「より多くの契約を獲得できているか」あるいは「顧客を満足させられているか」を測定する方向へと、大幅に進化させてきました。
──プロダクトの利用頻度だけでは解約を防げないケースが増えていますよね。顧客が真にアウトカムを得ているかを評価する新たな指標をお聞きしたかったので、答えていただけて良かったです。
