AI活用を加速させるのは「変化を楽しむマインド」
西田(セールスフォース・ジャパン) それでは最初のテーマです。「AI時代を生き抜くために、リーダーや組織に求められる最も重要なマインドセットやスキル」について、三上さんはどのように考えていらっしゃいますか?
三上(グーグル・クラウド・ジャパン) 生成AIの様々なモデルが登場し、その成果も次々と報告されている中、ビジネスにおける変化が3倍速になったように感じています。あまりのスピードに、「人間の仕事がなくなるのではないか」と感じた人もいたかもしれません。
しかし、なくなるものがあれば新しく生まれるものもたくさんあります。たとえば、電気がない時代には手動でエレベーターを動かす仕事があったそうですが、今はありませんよね。代わりにエレベーターを整備する仕事が生まれました。AIも同様です。AIエージェントが自律的にタスクを処理してくれる今、そうした変化を楽しむ力が重要です。
西田 古濱さんは「AIエージェントは現場の真のパートナーになる」と仰っていますね。現場が変化を恐れずにAIエージェントを活用できるよう、リーダーはどのように背中を押すと良いでしょうか。
古濱(富士通) 三上さんが仰ったように、AIに仕事を奪われる危機感から、現場への導入を躊躇してしまう面もあると思います。このためらいを払拭するためにも、むしろ現場の方々こそ、AIを積極的に使ってほしいですね。
そのためには、現場が使いやすいようにAIを整えていくことも必要です。たとえば、ベテランの社員は豊富な知識や情報を持っているにも関わらず、勘と経験によって判断を下すことが珍しくありません。そこで、必要な情報やデータを掛け合わせてわかりやすく提示し、判断を手助けするAIエージェントを構築する。これにより再現性の高い意思決定を促し、現場の方々に、AIによる変化をポジティブに受け入れてもらうことができます。
AIを使いこなせていない層の不安や抵抗感を解決し、AIによる変化を楽しんでもらうことが、結果として組織全体の活用促進につながります。そうした視点が、これからのリーダーには求められていくでしょう。
AI時代こそ、「面」で顧客体験を設計すべき
西田 AIの進化により、顧客の期待値はどのように変化しているのでしょうか。
鈴木(セールスフォース・ジャパン) AIにより、かつて「やれたらいいな」と思っていたことが次々と実現しています。たとえばマーケティング領域では、すべての顧客にパーソナライズしたメッセージや提案を、24時間365日いつでも実施できるようになりました。まさに夢のような変化ですね。
しかし顧客の視点に立ってみれば、どれだけ施策をブラッシュアップしても、マーケティングや営業、サービス・サポートなどの各部門が提供する温度感や手触り感が統一されていなければ、かえって顧客体験の質が下がってしまいます。
だからこそ、AI時代の変革は、一つの部門だけでなく組織横断で取り組まなければなりません。メンバー全員がCEOやCOOになったつもりで、「点」ではなく「面」の視点で、ビジネスの価値を生み出すにはどうすべきか考えることが大切です。
西田 AI時代にビジネスの価値を最大化するには、部署を越えた連携やアライアンスの構築が不可欠ということですね。
