創業9年で英国首位、日本では56万件を突破
MarkeZine:はじめに、オクトパスエナジーのミッションと、グローバルでの展開規模について教えてください。
中上:オクトパスエナジーは、2016年に創業したイギリス発のスタートアップです。ミッションは「Make Energy Better」。グリーンなエネルギーを普及させ、お客様や社会にとってより良いエネルギー市場を作ることを目指しています。
我々の特徴は大きく2つ。「Kraken(クラーケン)」という自前の顧客管理システムを持つテック企業であることと、「顧客ファースト」のポリシーを徹底していることです。イギリスでは創業9年で国内1位となり、現在は欧州各国やアメリカ、日本など世界27ヵ国で広く事業を展開しています(2026年8月時点)。
MarkeZine:日本では電力会社を意識するタイミングがそう多くありませんが、イギリスでは事情が違うのでしょうか。そこまで急成長できたのには、どういった背景が?
中上:イギリスで大きく展開できたのには、自由化が90年代後半と早いタイミングでスタートした経緯がまずあります。創業当時も、市場をほぼ独占する大手が1社ありましたが、顧客サービスのレベルが相対的に高くなかったと言われています。そんな中、私たちのストレスのないサービス体験とコミュニケーションが評価され、顧客数を伸ばしていったという背景です。
MarkeZine:なるほど。日本に参入されたのは2021年、そこから短期間で契約数を伸ばされたと伺いました。
中上:はい。2021年から東京ガスとのジョイントベンチャーとして、日本での電力小売事業をスタートしました。契約0件からのスタートでしたが、環境に優しいエネルギーを家計にも優しくという理念のもと、お客様を中心に何ができるかを愚直に考え続けてきました。その結果、足元では顧客数56万件を突破し、最近になって成長がさらに加速しています。
テクノロジーの強みと、それを引き出す「内製文化」
MarkeZine:オクトパスエナジーの強みを深掘りさせてください。新電力会社の中でも、これほど速く成長できている理由はどこにあるのでしょうか。
中上:鍵は、顧客管理システム「クラーケン」です。一般的なエネルギー会社は、請求、顧客登録、契約管理……と複数のシステムを並走させ、それらを全部駆使してお客様に対応しています。私自身、大手ガス会社の出身なのでよくわかるのですが、システム同士の連携には相当な労力と時間がかかります。新しい料金プランやサービスを市場に届けるまでに、多くの時間と開発コストがかかるのです。
一方で私たちは、そのすべてを「クラーケン」という1つのプラットフォームに集約しています。これにより、お客様や社会の課題、ニーズを捉えたら、それを新しい料金プランやサービスにすぐに反映させることができる。ここがオクトパスエナジーの強みです。
厚地:地味に聞こえるかもしれませんが、料金プランのような“製品の根幹”は、そう簡単に動かせません。そこをタイムリーに動かせるというのは強力な武器なんですよね。
もう1つの強みは、企業文化です。オクトパスエナジーは基本的にすべて内製を貫いています。カスタマーサービスからマーケティング、メディアバイイングまで自分たちの手で行う。ゆえに、ソーシャルで拾ったお客様の一言も、CEOを含むリーダーシップメンバーまでダイレクトに届きますし、その場で意思決定して動くことができます。「内製」と「少人数で早く決断する」文化が、テクノロジーの強みをさらに引き出していると思います。
また、CEOをはじめ「失敗してもすぐに立て直せばいい」といった文化もあります。「絶対に失敗しない」のではなく、トライしてからスケールさせるか/止めるかを速く決める。失敗が許容されているのは大きいですね。
