「価値が伝わらない」新規事業の壁。匿名リードをどう顕在化するか
押久保:まず、福田さんがマーケティングをご担当されている「樹脂判別ハンディセンサー」※1とは、どのような製品なのでしょうか。
福田:リコーの環境・エネルギー事業センターという新規事業部門で、デジタルマーケティングを主に担当しています。樹脂判別ハンディセンサーは、プラスチックの種類を判別できる機械です。リコーの半導体技術と、コピー機やファクスで培った光学技術を、コンパクトに固めた製品です。

押久保:マーケティング担当として、どのような課題を感じていたのでしょうか。
福田:担当に着任したときには、すでに商品紹介のWebサイトができていました。通常のリコー製品と違い、この製品は、樹種を判別できることがどのような価値や課題解決になるのかが、まったく伝わらない。「どう使っていいかわからない」というお客様が非常に多いことが、展示会で見えてきました。
サイトへの訪問はあるものの、問い合わせやカタログダウンロードという足跡を残してくださらない。「Unknown」、いわゆる匿名リードをどう顕在化し、アプローチするかに課題を感じていたとき、展示会でログリーの方から「ウルテクを使えば、匿名リードの部署情報がわかり、アプローチできる」と聞き、ぜひ使ってみたいと思ったのがウルテクと出会ったきっかけです。
押久保:井上さんは、そうしたニーズを聞いたとき、どう感じましたか。

井上: ウルテクは、BtoB企業の営業やマーケティング活動を支援するために開発されたBtoBマーケティングエージェントです。まったく見えなかった情報が、1つでも2つでも見えるようになることで、課題解決につながるのではないか。それが最初の一歩でした。
サイト内でどのページをどれくらいの時間見ているのかという行動に、サイトの外で何に興味関心を持っているのかを掛け合わせる。さらにウルテクでは、部署名や部署の電話番号、住所までわかるので、「会社単位だけでなく、どの部門・部署へアプローチすればいいのか」というところまで見えるようにする、というご提案をさせていただきました。

オフラインとオンラインの分断を解決。想定以上のターゲットが見えた
押久保:実際にウルテクを使い始めて、マーケティングの進め方はどう変わりましたか。
福田:東京ビッグサイトで開催されるような展示会では、3日間で300〜400枚の名刺が集まります。これまでは、対応した本人が感覚的にABCのランクを付け、Aから当たっていくやり方でした。
ところが実際には、AにもBにもなっていない、ブースをさらっと見て帰られたお客様が、その後数多くサイトにアクセスしている。来場企業のリストをウルテクに登録すると、どの会社がどれくらいの時間、何を見に来ているかまでわかります。それを営業メンバーにフィードバックできるようになり、営業側のプライオリティ付けが変わった。これが一番の変化点でした。
押久保:展示会のデータとWebの訪問データの分断は、長く言われてきた課題ですね。
井上:オフラインとオンラインの分断は、なかなか突合して見るのが難しい。会社名だけわかってもダメで、手元にあるデータだけでもダメです。マーケティングオートメーション(MA)なら、メルマガをクリックした人はわかりますが、展示会ではそうはいきません。取りこぼしている匿名リードのデータを、少しでもわかりやすく検知できるようにしたいと考えていました。
福田:実際、展示会のサンクスメールの開封率は20%程度で、クリックしてくださる方はさらにその5%程度です。本当にお客様に伝わっているのかがわからない課題は、ずっとありました。逆に言えば、想定よりずっと大きな母集団にアプローチできる余地が可視化されたこと自体が、大きなポテンシャルです。

