ポイントは「共通キー」。AIに読み込ませる前提でデータを設計する
押久保:AIの重要性が高まれば、データの重要性も高まる構図です。井上さんはどう見ていますか。
井上:これまでは、データを人間が読み解き、集計しなければならず、工数とデータの価値が釣り合いませんでした。そこをAIが担うことで人間は判断するだけになり、データドリブンが本当に成立するようになります。
ただし、データが分断されていては意味がありません。鍵は「共通キー」を持っているかどうかです。Aというキーに対して5つのファイルがあるのに、Aに紐づいているのが3つしかなければ、残りの2つはAIが憶測で紐づけることになります。すべてを1つの共通キーでセットにした束をいかに増やせるか。データをAIに読み込ませることを前提に設計しているかどうかは、提供側として非常に大事なポイントだと思っています。
押久保:ほかの企業では、どのような活用が生まれていますか。
井上:データはすべてCSVやExcelでエクスポートできるので、AIに読み込ませて「いま営業できそうな企業はどこか」を聞き、出てきたリストにそのまま営業をかけているお客様がいます。
BtoBでは意思決定者のほかに調査・評価・比較をする方が多数いて、コンバージョン1件が本当に大事なのかは別の話です。また、サイト訪問者を業種や企業群単位で可視化して、そのまま営業リストにしてアウトバウンドでアプローチしている会社もあります。

押久保:コンバージョンの手前にいる企業群そのものを見るわけですね。
井上:そのほかにも、TeamsやSlackで資料が見られたというきっかけのデータがわかったり、ホワイトペーパーの中にポップアップを組み込んで、直接申し込み導線を作れたりします。
さらに、コンバージョンした企業の興味関心を可視化して分析すると、採用に関心を持つ人たちが意外とマーケティングにも関心を持っている──いわば「ビールとおむつ」のような関係が見えてきた例もあります。それなら関連コンテンツや広告流入先を強化しようという、コンバージョンから逆引きする動きも広がっていますね。
受注・失注データとの連携へ。「データとAIで、みんなが良くなる」
押久保:最後に、今後の展望を伺います。福田さんはウルテクに何を期待しますか。
福田:新規事業ということもあってMAを使いこなせておらず、リードを獲得した後、受注したのか失注したのかがデータでわからないのが現状です。受注・失注のデータとウルテクをつなげられれば、もっと充実するはずです。お客様のニーズが深掘りされるほど、私たちが作るデータもより洗練されるので、そこに注力していただきたいというお願いです。
押久保:「売れた理由よりも売れない理由を知り、ひっくり返せば売れる」とよく言われる部分ですね。井上さんはいかがですか。
井上:その通りだと思います。いま価値があるのはデータです。これまではデータがあっても使えず、その価値が見える化されてきませんでした。昨今のAIで、そこの世界観がガラッと変わった。
ただ、AIは皆さんが独自に持っているデータそのものは持っていません。だからこそ、Webページや資料の閲覧、流入経路、地域、興味関心を1つのユーザーとして紐づけられるデータベースを共通キーで作り、うまく連携することで、皆さんの世界を変えていけると思っています。
押久保:AIの進化そのものも、ウルテクの提供価値を変えていきそうです。
井上:1年、2年前とはまったく違います。ClaudeやChatGPTにウルテクのデータをポンと投げると、勝手に共通キーを探してレポートを作ってくれる。最近では、AIで作った動きのあるHTMLレポートをウルテクに置き、URLの共有だけで社内にもお客様にも展開できる機能も出しています。
福田:これは実は、大企業ならではの課題に関わっています。AIで作ったファイルを自社の商品ページに置こうとすると、会社のレギュレーションで置けないケースがあるのです。ウルテクには置ける。最新の技術をすぐに試せるプラットフォームであることは、些細なようで、私にはものすごく大きなことです。
井上:AIにはいつも「5年後、10年後のAIの未来を考えた上で、いま私が考えているサービスが良いか悪いかを判断してほしい」と壁打ちしながら向き合っています。AIが進化すれば、私たちの提供価値はどんどん増えていく。データとAIで、結果的にみんなが良くなる世界を作れると思っていますし、すごく楽しみです。
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