SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Autumn

AIdiverピックアップ(AD)

展示会名刺300枚超、本当に追うべき相手を可視化する方法。リコーのAI×BtoBマーケ実践事例

 AI活用がBtoBマーケティングでも当たり前になる一方、展示会やWebサイトで得た顧客接点データを成果に結び付けられている企業はまだ少ない。汎用的なAIでは実現できない「次の一手」をどう見出すのか。樹脂判別ハンディセンサーという新規事業のマーケティングを担当するリコーの福田氏と、BtoBマーケティングエージェント「ウルテク」の事業責任者である、ログリーの井上氏に、匿名リードの顕在化、インテントデータを活かした資料作成、AIに読み込ませる前提のデータ設計など、BtoBマーケティングでのAI活用の最前線を聞いた(本記事の内容はYouTube動画でもご覧いただけます)。

「価値が伝わらない」新規事業の壁。匿名リードをどう顕在化するか

押久保:まず、福田さんがマーケティングをご担当されている「樹脂判別ハンディセンサー」※1とは、どのような製品なのでしょうか。

福田:リコーの環境・エネルギー事業センターという新規事業部門で、デジタルマーケティングを主に担当しています。樹脂判別ハンディセンサーは、プラスチックの種類を判別できる機械です。リコーの半導体技術と、コピー機やファクスで培った光学技術を、コンパクトに固めた製品です。

押久保:マーケティング担当として、どのような課題を感じていたのでしょうか。

福田:担当に着任したときには、すでに商品紹介のWebサイトができていました。通常のリコー製品と違い、この製品は、樹種を判別できることがどのような価値や課題解決になるのかが、まったく伝わらない。「どう使っていいかわからない」というお客様が非常に多いことが、展示会で見えてきました。

 サイトへの訪問はあるものの、問い合わせやカタログダウンロードという足跡を残してくださらない。「Unknown」、いわゆる匿名リードをどう顕在化し、アプローチするかに課題を感じていたとき、展示会でログリーの方から「ウルテクを使えば、匿名リードの部署情報がわかり、アプローチできる」と聞き、ぜひ使ってみたいと思ったのがウルテクと出会ったきっかけです。

押久保:井上さんは、そうしたニーズを聞いたとき、どう感じましたか。

井上: ウルテクは、BtoB企業の営業やマーケティング活動を支援するために開発されたBtoBマーケティングエージェントです。まったく見えなかった情報が、1つでも2つでも見えるようになることで、課題解決につながるのではないか。それが最初の一歩でした。

 サイト内でどのページをどれくらいの時間見ているのかという行動に、サイトの外で何に興味関心を持っているのかを掛け合わせる。さらにウルテクでは、部署名や部署の電話番号、住所までわかるので、「会社単位だけでなく、どの部門・部署へアプローチすればいいのか」というところまで見えるようにする、というご提案をさせていただきました。

オフラインとオンラインの分断を解決。想定以上のターゲットが見えた

押久保:実際にウルテクを使い始めて、マーケティングの進め方はどう変わりましたか。

福田:東京ビッグサイトで開催されるような展示会では、3日間で300〜400枚の名刺が集まります。これまでは、対応した本人が感覚的にABCのランクを付け、Aから当たっていくやり方でした。

 ところが実際には、AにもBにもなっていない、ブースをさらっと見て帰られたお客様が、その後数多くサイトにアクセスしている。来場企業のリストをウルテクに登録すると、どの会社がどれくらいの時間、何を見に来ているかまでわかります。それを営業メンバーにフィードバックできるようになり、営業側のプライオリティ付けが変わった。これが一番の変化点でした。

クリックで拡大
来場企業のリストをウルテクに登録することで、どの会社がどれくらいの時間、何を見に来ているのかがわかる(クリックで拡大)

押久保:展示会のデータとWebの訪問データの分断は、長く言われてきた課題ですね。

井上:オフラインとオンラインの分断は、なかなか突合して見るのが難しい。会社名だけわかってもダメで、手元にあるデータだけでもダメです。マーケティングオートメーション(MA)なら、メルマガをクリックした人はわかりますが、展示会ではそうはいきません。取りこぼしている匿名リードのデータを、少しでもわかりやすく検知できるようにしたいと考えていました。

福田:実際、展示会のサンクスメールの開封率は20%程度で、クリックしてくださる方はさらにその5%程度です。本当にお客様に伝わっているのかがわからない課題は、ずっとありました。逆に言えば、想定よりずっと大きな母集団にアプローチできる余地が可視化されたこと自体が、大きなポテンシャルです。

GA4だけでは資料が「薄っぺらく」なる。想定と違うペルソナが見えた

押久保:福田さんはウルテクの良さとして「やりたいことがすぐできる」点を挙げられていると思います。AI活用との関係では、どう感じていますか。

福田:マーケティングでは、お客様のニーズや課題をどれだけ把握できるかで、訴求する内容が変わります。ただ、現場の営業のヒアリングデータは重要であるものの定性的で、定量性がありません。

 ウルテクではお客様が何に興味関心を持ち、どんな課題を抱えているかというインテントデータを情報として得られます。これをベースに課題やニーズを設定できるので、AIで営業資料を作るときに具体的な裏付けがある。これがすごく活きています。

井上:そこはウルテクの強みとして意識したポイントです。「このページを何ページ見ました」という情報よりも、自社サイト以外ではこういう情報を探している、というところまで言語化したものをお渡しすることにこだわっています。それをまとめてAIに渡すことで、さらに見やすくなります。

客の興味関心をAIで分析しわかりやすく言語化(クリックで拡大)
顧客の興味関心をAIで分析しわかりやすく言語化(クリックで拡大)

押久保:言語化して見えるようになったことで、具体的に何が変わりましたか。

福田:以前は、サイトに来るお客様の情報はGoogle アナリティクス(GA4)しかありませんでした。どのページにどれだけ滞在したかくらいしかわからず、そこから作る営業資料は薄っぺらいものになります。

 ウルテクのデータを使うとペルソナを作れて、私たちが考えていたペルソナと違う切り口が出てくることがわかりました。課題の想定は「こう売れるのではないか」という社内のある人の考え方に寄りがちですが、それがウルテクだとデータとして客観的に見える。これが大きいと感じています。

月4本のAIコラムと業種別ホワイトペーパー。LLMO時代のコンテンツ設計

押久保:興味関心データを、資料作成に今後どう活かしていきますか。

福田:まさに今月取り組んでいるものがあります。SEO、最近ではLLMO(大規模言語モデル最適化)を意識して、AIで作成したコラム記事を月4本ほどのペースで公開しています。環境に関心がある方全般に来てほしいという目的で、流入はかなり多い。ただ、コラムとこの商材は必ずしも近くありません。

 たとえば「レアメタルのリサイクル」という記事は流入が多いのですが、読んだ方はカタログをダウンロードせずに離脱していきます。そこで、資源循環という大きな切り口でホワイトペーパーを作ろうと考えました。

 ウルテクなら、訪問者の業種ごとに違うニーズを拾えます。ニーズや課題を分けて資料を作るのは人間には大変ですが、AIなら業種別のホワイトペーパーを量産できる。「自分の業界に近い」と感じる資料にはお客様が来てくださるので、コンバージョンにつながるのではないかと、いまサイトの改修を進めています。

AIを活用し業種ごとのニーズに沿ったホワイトペーパーの量産も可能(クリックで拡大)
AIを活用し業種ごとのニーズに沿ったホワイトペーパーの量産も可能(クリックで拡大)

押久保:ほかのウルテク導入企業でも同様の取り組みが始まっていますか。

井上:福田さんと同じように、ホワイトペーパーを作ってみようという形で活かしていただいています。私たちとしては、その壁打ちの材料を提供できることが一番いいと思っています。自社サイトの内と外を含めた興味関心を、会社別、ユニークユーザー別のデータとして持っているので、壁打ちの精度も高くなります。

ポイントは「共通キー」。AIに読み込ませる前提でデータを設計する

押久保:AIの重要性が高まれば、データの重要性も高まる構図です。井上さんはどう見ていますか。

井上:これまでは、データを人間が読み解き、集計しなければならず、工数とデータの価値が釣り合いませんでした。そこをAIが担うことで人間は判断するだけになり、データドリブンが本当に成立するようになります。

 ただし、データが分断されていては意味がありません。鍵は「共通キー」を持っているかどうかです。Aというキーに対して5つのファイルがあるのに、Aに紐づいているのが3つしかなければ、残りの2つはAIが憶測で紐づけることになります。すべてを1つの共通キーでセットにした束をいかに増やせるか。データをAIに読み込ませることを前提に設計しているかどうかは、提供側として非常に大事なポイントだと思っています。

押久保:ほかの企業では、どのような活用が生まれていますか。

井上:データはすべてCSVやExcelでエクスポートできるので、AIに読み込ませて「いま営業できそうな企業はどこか」を聞き、出てきたリストにそのまま営業をかけているお客様がいます。

 BtoBでは意思決定者のほかに調査・評価・比較をする方が多数いて、コンバージョン1件が本当に大事なのかは別の話です。また、サイト訪問者を業種や企業群単位で可視化して、そのまま営業リストにしてアウトバウンドでアプローチしている会社もあります。

押久保:コンバージョンの手前にいる企業群そのものを見るわけですね。

井上:そのほかにも、TeamsやSlackで資料が見られたというきっかけのデータがわかったり、ホワイトペーパーの中にポップアップを組み込んで、直接申し込み導線を作れたりします。

ホワイトペーパー内のポップアップを作成し申し込み導線を作ることも可能
ホワイトペーパー内にポップアップを組み込み、申し込み導線を作るなども可能

 さらに、コンバージョンした企業の興味関心を可視化して分析すると、採用に関心を持つ人たちが意外とマーケティングにも関心を持っている──いわば「ビールとおむつ」のような関係が見えてきた例もあります。それなら関連コンテンツや広告流入先を強化しようという、コンバージョンから逆引きする動きも広がっていますね。

受注・失注データとの連携へ。「データとAIで、みんなが良くなる」

押久保:最後に、今後の展望を伺います。福田さんはウルテクに何を期待しますか。

福田:新規事業ということもあってMAを使いこなせておらず、リードを獲得した後、受注したのか失注したのかがデータでわからないのが現状です。受注・失注のデータとウルテクをつなげられれば、もっと充実するはずです。お客様のニーズが深掘りされるほど、私たちが作るデータもより洗練されるので、そこに注力していただきたいというお願いです。

押久保:「売れた理由よりも売れない理由を知り、ひっくり返せば売れる」とよく言われる部分ですね。井上さんはいかがですか。

井上:その通りだと思います。いま価値があるのはデータです。これまではデータがあっても使えず、その価値が見える化されてきませんでした。昨今のAIで、そこの世界観がガラッと変わった。

 ただ、AIは皆さんが独自に持っているデータそのものは持っていません。だからこそ、Webページや資料の閲覧、流入経路、地域、興味関心を1つのユーザーとして紐づけられるデータベースを共通キーで作り、うまく連携することで、皆さんの世界を変えていけると思っています。

押久保:AIの進化そのものも、ウルテクの提供価値を変えていきそうです。

井上:1年、2年前とはまったく違います。ClaudeやChatGPTにウルテクのデータをポンと投げると、勝手に共通キーを探してレポートを作ってくれる。最近では、AIで作った動きのあるHTMLレポートをウルテクに置き、URLの共有だけで社内にもお客様にも展開できる機能も出しています。

HTMLレポートの作成も可能
非エンジニアでもHTML形式のレポートを作成し、社内・社外への共有も可能

福田:これは実は、大企業ならではの課題に関わっています。AIで作ったファイルを自社の商品ページに置こうとすると、会社のレギュレーションで置けないケースがあるのです。ウルテクには置ける。最新の技術をすぐに試せるプラットフォームであることは、些細なようで、私にはものすごく大きなことです。

井上:AIにはいつも「5年後、10年後のAIの未来を考えた上で、いま私が考えているサービスが良いか悪いかを判断してほしい」と壁打ちしながら向き合っています。AIが進化すれば、私たちの提供価値はどんどん増えていく。データとAIで、結果的にみんなが良くなる世界を作れると思っていますし、すごく楽しみです。

ウルテクに関するお問い合わせ

ウルテクは、展示会で集めた名刺や既存リストを登録すると、その企業が自社サイトで何を見ているか、サイトの外で何を調べているかまで分かるBtoBマーケティングエージェントです。部署名や電話番号も確認でき、追う順番と伝える内容を決められます。詳しくはサービス資料をご覧ください。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
この記事の著者

AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)

「AIdiver」(エーアイダイバー)は、株式会社翔泳社が運営する、企業およびビジネスパーソンのAIの利活用にフォーカスしたメディアです。経営、ビジネス、日々の業務をAIで変革したい「AIリーダー」の皆さまに役立つコンテンツを発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ログリー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/09/01 10:00 https://markezine.jp/article/detail/77437