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MarkeZine Day 2026 Autumn

BtoB Synergy FORUM 2026

CPA高騰でも1,400件の新規商談を創出したTOKIUM 新規顧客接点は“面”で設計せよ

 Web広告のCPA高騰や、AI普及にともなうSEOトラフィックの急減など、数多くのBtoB企業が新規顧客獲得において深刻な手詰まりに陥っている。獲得コストが上昇し続け、従来のマーケティング手法が通用しづらくなった今、企業はどのような打ち手を講じるべきなのだろうか。2026年7月に開催された「BtoB Synergy FORUM」の基調講演では、才流の栗原康太氏がモデレーターを務め、売上高成長率219.5%を達成したTOKIUMのマーケティングリーダー・戸田博夢氏が登壇。逆風を乗り越えるための具体的な戦略と実行プロセスが語られた。本稿ではその模様をレポートする。

AI概要の影響で検索1位のCTRは58%減

 最初に才流の栗原氏は、現在のBtoBマーケティングおよび購買行動において、急速に進行している構造変化について解説する。

株式会社才流 代表取締役社長 栗原康太氏
株式会社才流 代表取締役社長 栗原康太氏

 かつてBtoBの購買プロセスでは、営業担当者から直接情報を収集する時代が長らく続いていた。その後、2000年代半ばから2010年代にかけて検索エンジンが普及し、顧客がWeb上で自ら検索して情報を探す時代へと移行。SEOやオウンドメディア、リスティング広告といったデジタルマーケティングが大きく発展したのはこの時期である。しかし、2022年11月のChatGPT登場以降、購買行動は「AIに尋ねる時代」へと劇的に変化した。

 栗原氏は、顧客が接する営業担当者の人数が、30年前の約10人から近年では約2人にまで減少しているデータを提示した上で、BtoB企業が直面している課題を次の4つに整理する。

1.AIの普及によるWebトラフィックの減少

 Googleの「AI Overviews」などの実装により、検索結果画面上でユーザーの疑問が解決する「ゼロクリック検索」が増加している。SEO分析ツールを提供するシンガポールの企業Ahrefs(エイチレフス)の調査によると、AIによる概要が表示された場合、検索1位のCTRはグローバルで約58%、日本市場でも約38%低下しているという。才流のWebサイトでも同様にオーガニック流入の減少が確認されており、従来のSEO施策だけではトラフィックを維持することが困難になっている。

2.展示会の二極化と効果低下

 製造業の実機展示など、リアルな確認が必要な分野では来場者数が維持されている一方、IT・マーケティング系の展示会では来場者数が減少傾向にある。Webサイトや動画で情報収集が完結するため、展示会に出展しても名刺獲得数や商談数が減少し、ROIが合わなくなるケースが増えているのだ。

3.アウトバウンド営業の難易度上昇

 インサイドセールスやテレアポにおける通話率・アポイント獲得率の低下も顕著だ。iOSの通話スクリーニング機能の標準化や、「fondesk」「IVRy」に代表される受電代行・AI電話応答サービスの普及により、担当者へ電話がつながりにくくなっている。さらに、AIを活用したフォームDMや自動テレアポの乱立により、見込み顧客側に大量のアプローチが殺到し、反応率は悪化の一途を辿っている。

4.Web広告のCPA悪化

 電通が発表した「2024年 日本の広告費」のデータが示すとおり、インターネット広告費は拡大を続けているが、これは市場への参入企業が増加していることを意味する。激しい出稿競争の結果、1件あたりの問い合わせ獲得単価や商談獲得コストは年々高騰している。

「かつてのように『リスティング広告を打つ』『展示会に出展する』といった単一の施策だけで成果を上げることは難しくなっています。これからのBtoBマーケティングでは、オンライン/オフライン複数の施策を組み合わせ、中長期的なコミュニケーションを通じて自社を選んでもらう、総合格闘技のようなアプローチが不可欠です」(栗原氏)

1,400件の新規商談を創出したTOKIUM

 こうした市場全体の逆風に対し、突破口を開いたのがTOKIUMだ。同社は直近1年で指名検索数の増加率を5倍に伸ばし、既存のSaaS商談とは別に1,400件の新規商談と350社の受注を創出した。ここからTOKIUMの戸田氏が登壇し、同社が「経理AIエージェント」という新たなコンセプトを掲げてリブランディングを推進した背景について明かす。

株式会社TOKIUM ビジネス本部 副本部長 東日本営業部 部長・マーケティング部 部長 戸田博夢氏
株式会社TOKIUM ビジネス本部 副本部長 東日本営業部 部長・マーケティング部 部長 戸田博夢氏

 同社が位置する経費精算や請求書管理の領域は、競合がひしめくレッドオーシャンである。インボイス制度や電子帳簿保存法にともなう需要の一巡後、欧米を中心に「SaaS is Dead」という言説が広まり、従来のソフトウェア提供モデルそのものへの不確実性が高まっていた。

「当社は単なるSaaSの提供にとどまらず、約8,000人のオンラインオペレーターを活用した領収書・請求書の原本回収やデータ化など、BPOサービスをセットで提供してきました。AI時代において、ソフトウェアとAI、そして人間による高度なBPOが独自の強みになると考え『経理AIエージェント』へのリブランディングを決めました」(戸田氏)

 市場にまだ存在しない新カテゴリーを定義し、機動力を活かして経理AIエージェントのサービスを6体リリース。「経理AIエージェントといえばTOKIUM」という第一想起を獲得する戦略へと舵を切ったのだ。

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テレビCM放映時と同水準の指名検索数をコスト3%で達成

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77473

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