米国ゲーム会社が広告事業を本格化
Electronic Arts(以下、EA)は、『EA SPORTS FC』『Madden NFL』『The Sims』『Battlefield』『Apex Legends』など、世界的な人気タイトルを抱える米国のゲーム会社である。
同社によれば、2026年度にはコンソール、PC、モバイルを合わせて毎月1億2,000万人以上のプレーヤーがEAのゲームやサービスを利用している。この巨大な接触機会を背景に、新たな事業として立ち上げられたのがEA Advertisingだ。
EAのChief Experiences OfficerであるDavid Tinson氏は次のように述べている。
「プレーヤーは毎日EAのゲームやライブ体験の中で遊び、観戦し、創造し、人とつながっている。ブランドは、その体験に価値を加える形で参加できる」
ここで重要なのは、EAが繰り返し掲げる「Enhance, not disrupt(ゲーム体験を邪魔するのではなく、より良くする)」という思想である。つまり広告を「見せる」のではなく、ゲームの世界観に「自然に溶け込ませる」のである。
表示される存在から「参加する」存在へ
ゲーム内広告そのものは珍しいものではない。スポーツゲームのスタジアム看板、自動車メーカーのロゴ、飲料メーカーとのタイアップなどは20年以上前から存在していた。
しかし、それらは基本的に静的な広告であり、一度ゲームを発売すると変更できなかった。EA Advertisingはここが決定的に異なる。広告はリアルタイムで差し替えられ、地域やキャンペーンごとに最適化されるのだ。
たとえばサッカーゲーム『EA SPORTS FC』では、Visaがスタジアムやユニフォームスポンサーとして登場する。Red Bullはブランドチャレンジや限定ユニフォームを展開する。
Mountain Dewは『College Football』内に「DEW University」という独自スタジアムやマスコット、報酬システムまで備えたブランド体験を構築した。さらに、XfinityやPeacockは中継番組のような演出と組み合わせた広告を展開している。
ブランドはゲームの中に「表示」される存在ではなく、「参加」する存在へ変わったのである。
