嗜好性の高い「チョコレート」は買い控えが加速?
では、嗜好性の高い「チョコレート」ではどうだろうか。購入された平均個数単価は、CPIと同様に2022年以降、上昇傾向が見られる。グループ別に見ると食パン同様、物価高に敏感な「ハードリアクション層」ほど低く、比較的物価高を受容している「現実受容型・マイルド対応層」ほど高いことがわかる。
SCI(エリア:全国)※調査に回答したSCIモニターに限定し、3層に分類して集計
指標:平均単価(個数)
集計対象:チョコレート
期間:2022年1月~2026年5月
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一方、購入個数(100人あたり)で見ると、全体としては2022年の物価高以降、減少傾向であることがわかる。またグループ間の違いに目を向けると、2022年~2023年頃にはやや差があったものの、年々その差はなくなる傾向にあり、2024年以降ではほとんど差は見られない。
SCI(エリア:全国) ※調査に回答したSCIモニターに限定し、3層に分類して集計
指標:100人あたり(個数)
集計対象:チョコレート
期間:2022年1月~2026年5月
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食パンとチョコレートを比較すると、食パンのような生活必需性の高い食品では平均個数単価が上昇しても購入個数(100人あたり)は変わらない一方、比較的嗜好性の高いチョコレートでは平均個数単価が上がるにつれて購入個数(100人あたり)は減少傾向にあることがわかる。
またグループ間の違いも確認することができ、とりわけ物価上昇に敏感な「ハードリアクション層」では平均個数単価・購入個数(100人あたり)が比較的低く、消費を控える傾向が強い可能性があることがわかった。
【まとめ】生活者の「行動変化」を捉えるマーケティングの重要性
ここまでの分析を通して、昨今の著しい物価上昇局面における生活者の実態が垣間見えた。
全体を通して見えてくるのは、価格の変化だけでは推し量れない、生活者の「買い物の工夫」である。CPIのような店頭の価格変化だけを追う公的統計では、生活者が実際の買い物の中でどのような商品を選び、どのように支出を調整しているかまでは見えづらい。
しかし、実態としては生活者の工夫があった。食品における消費傾向は、主食のような必需性の高い食品の消費は維持される一方、嗜好性の高い食品の消費は抑制され、さらには生活者の意識によって反応も異なることがわかった。
今後のインフレ局面においては、こうした消費量の調整や、買い方の変化はさらに顕在化する可能性が高い。メーカーや小売、さらには政策立案においても、単なる価格の変化だけでなく、「生活者の行動変化」を捉える視点が一層重要になるだろう。
■本レポートで使用したデータ
【SCI(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女70,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません。
■調査概要
- 調査名 :物価に関するアンケート調査
- 調査内容:現在・将来の物価/賃金の認識、物価上昇時の行動、日々の消費行動、幸福度とその要因等
- 調査対象:ネットモニターおよび SCI モニター
- 調査期間:
2025年11月調査(2025年11月21日~27日)
2025年12月調査(2025年12月19日~25日)
2026年1月調査(2026年1月23日~29日)■参考文献
三輪哲(2009)「潜在クラスモデル入門」『理論と方法』数理社会学会、24(2)、pp.345-356。
