高価格帯市場を牽引する疾患予防訴求系歯磨き
――はじめに、ライオンのオーラルヘルスケア領域のブランドのポートフォリオについて教えてください。
遠矢: ライオンのオーラルヘルスケア分野では、様々なブランドを展開していますが、大きな軸として「お悩み別のソリューション提供」が存在します。たとえば口臭をケアしたい方には「NONIO」、美白をケアしたい方には「Lightee」、歯槽膿漏などの疾患予防訴求系なら「デントヘルス」が対応しています。歯やお口の気になりごとは年齢によって変化する側面もありますが、年齢ではなく意識や気になりごとで選んでいただいている傾向が強くなってきています。

――ライオンでは近年オーラルヘルスケア事業において、高価格帯ラインの商品に注力されています。その理由を教えてください。
遠矢:現在、オーラルヘルスケアの市場では500円以上の高価格帯の商品が伸長し、市場全体の成長を牽引しています(2025年インテージSRI+)。特に、高価格帯の中で売上の7割を占めているのが、歯周病対策等のいわゆる「疾患予防訴求系」のアイテムで、900円以上の価格帯がそのウェイトの大部分を占めている状況です。疾患予防訴求系・高価格帯の攻略が今後に向けて非常に重要になるという見込みのもと、当社としてもラインナップ拡充を強化しているのが大きな背景です。
高価格帯市場が伸びている背景には、お客様の意識の変化が大きく関係していると捉えています。感染症流行を経験したこともあり、昨今、お客様の中での自己管理意識が向上し、セルフケアや健康寿命への関心が高まっています。オーラルヘルスケア分野においてもその傾向は顕著で、歯科検診の受診率は2014年の39.9%から2024年には53.7%と、10年前と比較して15%ほど増え、約半数の方が定期的な歯科健診を受診する時代になっています(2014年、2024年ライオン調べ)。
こうした背景も相まって、ヘアケアやスキンケアのように、口腔環境もより良いものにしたい、より良いアイテムを使いたいというニーズが加速してきていると考えています。
危機感から親近感へ、ブランドイメージ転換
――そうした市場や生活者の意識変化に対して、疾患予防訴求系の気になりごとに対応する「デントヘルス」はどのようなアプローチをされているのでしょうか。
遠矢: 高まる予防ニーズにより合致したブランドイメージへシフトするため、2025年秋からコミュニケーションを変えています。これまでの「デントヘルス」ブランドは、たとえば、歯が1本抜けてしまうとバラバラとドミノ倒し的に歯が崩れてしまうようなクリエイティブを用いていました。歯槽膿漏への不安感からの“駆け込み寺”的にご使用いただくというイメージ・立ち位置を確立していたのです。
しかし、これからは「歯周病予防も含めて歯槽膿漏まで予防できる、これからの予防を考えたときに、歯槽膿漏予防といえばデントヘルス」というブランドイメージを高めていくことで、お客様に「私のブランドだわ」と思っていただけるように成長していこうとしています。
――コミュニケーションのトーンはどのような変化をしたのでしょうか?
遠矢: 以前は説得力と強さを感じるタレントを起用するとともに、「今のままだと危ないですよ」「なんとかしないといけないよね」と、危機感に共感していただくようなトーンのコミュニケーションが中心でした。
そこから「これからの予防といえばデントヘルス」というイメージを持ってもらうために、力強さと親しみやすさのバランスが絶妙な松重豊さんをイメージキャラクターに起用し、お客様に寄り添うようなコミュニケーションへシフトしています。
