本記事は『デジタル時代の基礎知識『ブランディング』第2版 事業に貢献するAI時代のブランド論(MarkeZine BOOKS)』(著者:山口 義宏)の「CHAPTER3 デジタルとAIに適応するブランド戦略」から抜粋したものです。掲載にあたって編集しています。
施策の同質化を防ぐ! 強い「ブランド思想」
生成AIは、効果が出やすい施策のアイデアや表現を学び続け、使えば使うほど賢くなっていきます。過去の成功事例や市場で受け入れられてきた表現をもとに最適化を重ねるため、一定水準以上の成果を出すスピードは飛躍的に高まります。
一方で、その特性ゆえに注意すべき点もあります。
市場で評価されやすい施策を学習すればするほど、AIが生成・レコメンドする内容は結果として競合と同質化していくリスクが高まります。特に、条件や指示が曖昧なままAIを使うと、同業と似たようなコピーやビジュアル、施策案が量産されやすくなります。
自社独自の思想と自社データの学習で差別化を図る
競合と完全に同質化せず、自社ブランドの差別性を保ちつつ成果を出すために重要なことは次の2点です。
1つ目は、自社ブランドならではの思想・こだわり・偏愛要素を言語として定義し、満たすべき要件としてAIに明示することです。どんな価値観を大切にし、何をよしとし、何を避けるのかを具体的に指示することで、出力の方向性は大きく変わります。
2つ目は、自社独自の施策やクリエイティブ、成果データを継続的に学習させることです。自社で積み上げてきた勝ちパターンや文脈をAIに覚えさせることで、汎用解ではなく、自社ブランドらしい成果の出る最適解に近づいていきます。
AI浸透以前の時代でも、同質化と差別化のバランスは重要でした。ただしAIは、意識してブランド独自の個性を教え込まなければ、同質化を加速させる力学を持つ仕組みです。だからこそ今後は、独自の思想や偏愛を持つブランドほど、AI時代にも差別化の軸となり、強い武器を手にすることになるのです。
また、AI活用方法の1つとして、自社と競合のブランドの口コミ収集分析をルーティンとして仕組み化し、成果が出そうなネタがあれば、競争力のあるクリエイティブに素早く落とし込んで展開するというものもあります。

