市場での競争力において、その瞬間の商品力やプロモーション力だけに頼っていると、競合の動向によってあっという間に優位性を失うリスクがあります。これを防ぎ、競争力を安定させるのがブランド戦略です。しかし、戦略の立て方は自社が市場で「王者」なのか「チャレンジャー」なのかによって根本的に異なります。チャレンジャーが王者と同じ戦い方をしても同質化して埋もれてしまう以上、自社の立場を客観視した戦略設計が不可欠です。今回は書籍『デジタル時代の基礎知識『ブランディング』第2版』(翔泳社)から、ブランド戦略がもたらす効果と、自社の立場に応じた戦略の定石について解説します。
本記事は『デジタル時代の基礎知識『ブランディング』第2版 事業に貢献するAI時代のブランド論』(著者:山口 義宏)の「CHAPTER2 ブランド戦略って何?」から抜粋したものです。掲載にあたって編集しています。
ブランド戦略の基礎──継続が「価値の蓄積」を生む
世の中の大半のビジネスは、自覚、無自覚の違いはあれども、ブランド戦略を持っていません。私がそう言うと、「何だ、ブランド戦略がなくても大丈夫なんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。
しかし、市場での競争力において、その瞬間の商品力やプロモーション力だけに頼っていると、安定しません。市場では、競合に機能や品質で追いつかれる、低価格競争を仕掛けられるなど、コントロールできない力学があり、自社が市場での競争力を失うリスクはたくさんあります。
ブランド戦略を持つことのメリットの1つは、まさにそこへの対処にあります。ブランド戦略を継続するほど、消費者に価値が知覚認識され、消費者の頭の中に、そのブランドの価値が蓄積されていきます。これにより、市場での競争力が安定するのです(図1)。
スペックで負けても選ばれるブランドの「残存効果」の力
メーカーAの新商品が、競合メーカーの新商品よりもスペックで劣っていたとしましょう。それでも、Aがこれまでブランド力を積み上げていたならば、「Aのほうが伝統的に品質がいいといわれているから」など、いろいろな理由で選んでもらえる可能性があります。要はその瞬間の商品の優劣で負けたとき、すぐに売上減とならないような状況が生まれるのです。
このブランド力の残存効果は馬鹿にできないものがあります(消費者が低関与な商材や、品質の自己判断が難しい商材では、機能的な実態の優劣よりブランド力のほうが購買に大きな影響を与えます)。
もちろん、あえてブランド戦略を持たないという選択肢もあります。そのメリットは、一貫性や継続性にとらわれる必要がないので、「朝令暮改をいとわない徹底的なゲリラ戦ができる」ということでしょう。ただし、残存効果がないため、競争力を一瞬のうちに失い、あっという間に陥落、という憂き目を見る危険性が常につきまといます。
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大久保 遥(編集部)(オオクボ ハルカ)
大学卒業後は編集プロダクションにて、主に料理や歴史などのムック本の編集を経験。その後ビジネス書・語学書を扱う出版社を経て、2017年より翔泳社の書籍編集部へ。翔泳社では「IT用語図鑑」シリーズ、「「ゆる副業」のはじめかた」シリーズの他、『インサイドセールス』『ど素人でもわかる経営学の本』など、ビジネス書・IT入門書...
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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