開始1年で支出45%増、動画広告が示す購買意欲
Amazon Adsが2026年9月3日に開催する年次イベント「Amazon Japan Upfront 2026」に先駆け、メディアラウンドテーブルが実施された。同イベントでは、動画広告ソリューションのビジネス戦略や、ブランドとオーディエンスを測定可能な方法でつなぐ新たなイノベーションが明かされている。
注目すべきトピックの1つは、日本市場において2025年4月に導入された「Prime Video広告」の具体的な運用成果だ。導入から1年が経過した現在、広告主からの評価は明確な数値として表れている。2025年10月から2026年3月までの後半6ヵ月間における全広告主の平均キャンペーン支出額は、前半6ヵ月間と比較して45%の増加を記録した。また、初期の6ヵ月間で広告を出稿した企業の77%がその後も出稿を継続しているという実績は、媒体としての費用対効果の高さを示唆している。
この予算拡大を支えている最大の要因は、Prime Video視聴者が持つ特異な購買意欲とエンゲージメントの高さだ。Amazon側のデータによれば、日本のPrime Videoオーディエンスは広告接触によって購入に至る可能性が38%も高く、視聴世帯の89%が過去1ヵ月以内にAmazonで買い物をしているという。さらに、視聴世帯の月間平均支出額は、非視聴世帯と比較して17%多いことが判明している。これはEC事業者にとって、単なる認知獲得を目的とする広告とは異なり、購買行動へのコンバージョンが担保された有望なチャネルであることを意味する。
また、ローカルオリジナル作品の視聴数が前年比で85%増加し、『私の夫と結婚して』などのヒット作を中心にソーシャルエンゲージメントも36%増加している状況は、文化的共感を生むコンテンツにいかに消費者が集まっているかを証明している。Amazon Ads Japanでカントリーマネージャーのステファン・グルニエ氏は、「視聴者がコンテンツに関心を持っている状態であれば、並んで登場するブランドに対する受容度も高まる」と強調した。
非出品企業の出稿48%増と常時露出戦略へのシフト
Prime Video広告の成果は、Amazon内で商品を直接販売しているEC事業者やメーカーにとどまらない。Amazon.co.jpで商品を販売していない、いわゆる「非エンドデミック」と呼ばれる広告主の参入も顕著だ。前半6ヵ月間から後半6ヵ月間にかけて、これら非出品の広告主数は48%の増加を見せた。業界別に見ると、通信セクターが140%増、旅行セクターが83%増、金融サービスセクターが69%増と、大きく成長を牽引している。有形商材を持たないサービス系の企業であっても、ファネル全体にわたる測定可能な成果と新規オーディエンスへのリーチ力が評価されている証左だ。
グルニエ氏は、多様な業界が投資を拡大する理由として、特定のオーディエンス層にリーチできる点、ブランドセーフな環境下でのプレミアムコンテンツへのアクセス、そしてカスタマージャーニー全体を通じた行動インサイトの計測が可能である点を挙げている。
同日配布のプレスリリースにおいても、グルニエ氏はこの動向について次のように分析し、日本の広告主の姿勢が変化していることを指摘する。
「この12ヵ月間で、日本の広告主様が、Prime VideoでのストリーミングTV広告のテストから、Amazonのエンターテインメントポートフォリオ全体にわたる“オールウェイズオン(常時露出)戦略”の構築へと移行する姿を目の当たりにしてきました」(グルニエ氏)
また、その背景にあるのは「すべてのインプレッションが実際のシグナルと計測に裏付けられているという確信」だとも述べている。
この「オールウェイズオン」戦略への移行は、EC事業者にとっても重要な示唆に富む。短期的なキャンペーン単位での露出だけでなく、データに基づくターゲティングを継続的に行うことで、ブランド認知から指名検索、そしてカート追加に至る一連の購買プロセスを、単一のエコシステム内で切れ目なく完結させることが可能になるからだ。
フルファネルでの広告効果をさらに確実なものにするため、Amazon Adsは視聴体験を直接的なアクションに転換する新たな広告フォーマットを順次導入している。発表では、ローンチから間もないものや、今後実装予定の新広告フォーマットまで言及された。
