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EC業務に変革をもたらすAI 共存の先に見えるものとは

AI経由の注文が15倍に!Shopify Field CTOが語るエージェンティックコマースの衝撃

 AIが単なる検索や推薦の補助にとどまらず、意思決定から決済までを自律的に担う「エージェンティックコマース(Agentic Commerce)」。Shopify社ではAI経由の注文数が前年比15倍に急増しており、消費者の行動は従来の検索から有機的な「会話」へと劇的に変化しています。本記事では、同社のField CTOであるエドゥアルド・フリアス氏に、従来のレコメンドとの決定的な違いや、企業が今すぐ取り組むべきデータ活用、そして日本市場の持つ独自の強みについて詳しく伺います。

AIの登場で消費者の購買プロセスは

━━まず、フリアスさんの「Field CTO」としての役割と、現在の小売業界におけるテクノロジーの潮流をどう捉えているか教えてください。

 私のField CTOとしての役割は、Shopifyのお客様である加盟店様、特に企業のリーダーたちに対して、テクノロジーで何が起きているのかを解説し、彼らのビジネスにおける重要な意思決定をお手伝いすることです。

 現在の小売業界における最大の潮流は、間違いなくAIがコマースの世界を根本から変えつつあるということです。消費者が商品をどう見つけるのかという「発見」のプロセスから、実際に手元に届くまでのすべてのプロセスが激変しています。

Shopify Field CTO エドゥアルド・フリアス氏
Shopify Field CTO エドゥアルド・フリアス氏

 Shopifyは過去20年にわたり、コマースの未来を構築するために多大な投資を続けてきました。幸運なことに、私たちはこれまでR&D(研究開発)に対して15億ドル(約2,500億円)もの資金を投入することができ、現在では何千人もの優秀なエンジニアが日々新しいインフラの開発に取り組んでいます。

━━15億ドル以上の投資というのは驚異的ですね。AIへの投資はいつ頃から始められたのでしょうか。

 世間でAIがこれほど大きな話題になるずっと前から、私たちは投資を開始していました。OpenAI社、Google社、Anthropic社、Perplexity社といったAI領域の巨人たちとも早い段階から密接なコラボレーションを行っています。

 たとえば、Microsoft社の「Copilot」が正式にローンチされる前、まだ一般公開されていない段階から、私たちはそれを最初に使用し始めていました。現在では、プラットフォーム上に多くの先進的なAI機能を実装しているだけでなく、より良い製品を効率的に開発するために、社内の開発プロセスでもAIを大規模に活用しています。

AI経由の注文が15倍に拡大!「エージェンティックコマース」の本質

━━Shopifyでは「AI経由の注文数が前年比15倍に拡大した」というデータがあると聞きました。消費者の行動にはどのような変化が起きているのでしょうか。

 消費者の行動は劇的に変わりましたし、その変化と進化は今も続いています。これまでのECにおける購買行動は、非常に「線形的(リニア)なジャーニー」でした。ユーザーがキーワードで検索し、検索結果からWebサイトに遷移し、カタログを見つめ、商品詳細ページを確認して、最終的に決済にいたるというプロセスです。

 しかし現在、このプロセスは非常に「有機的なプロセス」へと変貌を遂げています。消費者はChatGPTなどのAIインターフェースと対話し、自分の真の「意図」を表現するようになっています。たとえば、「今度、マラソンを走るんだけど、何を用意したらいい?」といった自然な会話からカスタマージャーニーが始まるのです。

 データを見ていて非常に興味深いのは、このように「会話的なスタイル」で商品を発見した顧客は、EC事業者にとって極めて価値の高い顧客になるという点です。なぜなら、AIベースの会話を通じて十分なリサーチを終え、ブランドへの信頼を醸成した上で流入してくるため、サイトに到達した時点で既に「買う準備ができている」からです。結果として、購入確率(コンバージョン率)が大幅に高まり、顧客平均単価(AOV)も高くなる傾向があります。

━━従来の「おすすめ機能(レコメンド)」と、AIが決済までを自律的に担う「エージェンティックコマース」の決定的な違いはどこにあるのでしょうか。

 一番大きな違いは、従来のレコメンドが「受け身的・受動的」であったのに対し 、エージェンティックコマースは極めて「インタラクティブ」であるという点です。従来の仕組みでは、検索窓に入力された単語に対してSEOやアルゴリズムに基づいた結果を返すだけでした。

 一方で、エージェンティックコマースにおいては、AIエージェントがユーザーの文脈(コンテキスト)や意図を深く理解します。先ほどのマラソンの例で言えば、AIは「これは42.195kmを走るレースだから、適切なシューズだけでなく、ランニング用のウエア、サプリメントなどの栄養、そして水分補給の装備も必要だ」という文脈を総合的に捉え、高度な提案を行います。

 そして2つ目の決定的な違いは、「すべてのカスタマージャーニーが、たった1つの会話の中で完結する」という点です。これまでは、検索、比較、カート追加、決済にいたるまでに複数のサイトやアプリを遷移する必要がありましたが、エージェンティックコマースではこれらすべてが1回の会話の中で終結します。

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AI導入を成功に導く鍵、そして導入を阻む壁は?

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/16 15:30 https://markezine.jp/article/detail/76947

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